3
「葵ちゃん一緒に帰ろうよ」
泰王は高校入学とともに上京していた。
葵は高校に入ってからアパートで1人暮らしを始めた。
そしたらたまたま泰王が隣の部屋に引っ越してきた。
彼らは毎回一緒に帰っているそう。
「いいよ!」
「うちらも混ぜなさい」
「いいよん」
「なんで俺も付き合わされてるのだろうか...」
「いいだろうよ別に。」
葵たち4人は電車通学をしている。
4人とも最寄り駅が同じで、最近はよく一緒に帰っている。
まだ新入生は部活に入っていないため、4人とも帰りの時間が一緒。
部活に入ったら一緒に帰れないだろうという葵の思考から、
帰れるときは一緒に帰ろうと4人で決めているらしい。
「気を付けて帰ろよー」
「はーいわかった!体育担当の先生!また明日ね!」
「社会なー?泰王たちも気を付けて帰ろよ」
「「「はーい。さようなら」」」
「ハモるな。ハモるな。」
「結局君たちは静かにイチャついてましたねぇ。」
「やばい渚沙キレてる。」
「ごめんって渚沙。」
「ごめんね?渚沙ちゃん」
「目がウルウルしている。許そう。」
「なんか泰王には甘いよな、渚沙。」
「泰王くんは可愛いもんねぇ。」
「泰王くんは私のものよ」
「ほらほら泰王困ってるから」
「可愛いなんて言われたのはじめてなの」
「びっくりしてるのも可愛いよぉおお」
「まるでお母さんですね。えぇ。」
帰りの時間帯で駅前は活気がある。
活気があるといっても、高校生や大学生の声で溢れかえっている。
葵の高校の近くには別の私立の高校や、有名な大学も何個かある。
改札を抜けた瞬間、葵たちは高校生や大学生の人波に飲み込まれた。
学生のたちの群れが、まるで空港にある流れるベルトコンベアみたいに一方向へと押し寄せてくる。
「今日はすごい人だね。」
「会社終わりのサラリーマンはまだいない時間帯なのに。」
「すごい人だかりやな。初めて見たわ」
ホームに着けば、戦場が始まった。
電光掲示板に「18:42発 快速急行」と表示された瞬間、周りの人が一斉にソワソワし始める。
「普通列車は逃げないからと説得したいぐらいなんかみんなソワソワしてる」
「瑞貴はすごい平和主義だね」
「渚沙も瑞貴くんに似たようなタイプじゃん。」
「大阪ではこんなのあまり見たことないわ。初めて見た」
泰王が住んでいる所ではこのような人波ができるほど駅のホームが混むことはないらしい。
都会ではよくあることだから、まだ慣れていない。
「焦らなくていいよ」
「はぁー、ちょっと疲れてまうわ。」
「ゆっくり歩こうか。」
「俺も疲れた」
「まもなく、3番ホームに電車が参ります。」
「座れるといいね。」
◇ ◇ ◇
「やっとついたー。」
「座れてよかったね。」
夕日が照らす夕方。
葵たちは奇跡的に座れて、ゆったりと帰ってくることができた。
今日は金曜日。
明日から休日が待っている。
「明日は何するの?」
「明日は、勉強する。」
「ほんまか?」
「ほんまや!瑞貴くんやって、やらんやろ!」
「俺は優等生ですから。えぇ。」
「クソ瑞貴め。」
「クソはひどいじゃない葵さん。」
「嫉妬ですか」
「瑞貴くんは頭いいから。僕よりきっと。」
「ふっ、笑」
「なんで笑ってるの」
「かわいいなーって思って」
「俺はかっこいいって言われたいの」
「葵はきっと言ってくれる。応援してるで」
「ありがとう。頑張るわ」
「葵は多分そういう子が好きやと思うで~」
「研究するわ。ってかなんで葵ちゃんのこと好きって知ってるん?!」
「ふふっ、見てればわかります。」
「そういう渚ちゃんは?瑞貴くんのこと好きじゃないの?」
「まあ...瑞貴とは腐れ縁ってやつだから。」
「ふーん」
各ペアが話をしているうちにあっという間に葵と泰王の最寄りの駅についた。
「じゃあーね!」
「また明日ね。」
2人は渚沙と瑞貴と別れて自分たちの家に帰っていった。
「ねえ今日さ葵ちゃんの家見に行ってもいい??」
「いいよ!汚いけどいい?」
「全然大丈夫。うちん家の汚いから。」
「よしじゃあ早く帰ろ~」
泰王は心の中でガッツポーズをした。
ウキウキで葵の後を走って追っていった。
恋はもうごめんだ!! すそ @sonori
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