第9話 舞蝶
全てが終わり、私は母の言いつけどおりに父の遺骨は全て受け取った。
ねぇ、冴、本当にこれでいいの?
お父さん、喜んでないんじゃない?
お母さんの事だもの、父の遺した財産もきっとあの人と凛ちゃんに渡さないだろうし。
「あのう、これからの生活はどうされるんですか?余計なことですが。」
「実は、、。正太郎さんと私は喫茶店をやっていたんですよ。これからは一人でやっていくつもりです。」
「そうですか、、。そうだ。父のお墓の場所、そこをお教えします!命日の日は母が行くかも知れませんけど、、。地図を書きますね。」
私は手帳に地図を書いて破いてあの人に渡した。
「いいんでしょうか、、。あちら様の、、。」
「いいじゃありませんか?きっと父は貴方と凛ちゃんに会いたいと思ってます。
どうか会いに行ってやって下さい。」
「冴さん、ありがとうございます。」
「いーえ、今夜は来て良かったです。父へのわだかまりが少し溶けたような気分です。ふふふ、凛ちゃん見てたら、なーんかアホらしくなったし。私は私でいいんだって。」
「そうですか?なら、良かった。
あのね、お弁当があと17個も残ってるんです。冴さん、お願い!いくつか持って帰ってくれませんか。」
「えーーっ!そう来ましたか?あはは。確かに17個はねぇ。美味しいお弁当だし捨てちゃうのは惜しいです。じゃあ
5個いただいゃいまーす。」
大きな紙袋に松花堂弁当の豪華バージョンを五個、車に積み込んで火葬場で私たちは別れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます