第9話 舞蝶

全てが終わり、私は母の言いつけどおりに父の遺骨は全て受け取った。

ねぇ、冴、本当にこれでいいの?

お父さん、喜んでないんじゃない?

お母さんの事だもの、父の遺した財産もきっとあの人と凛ちゃんに渡さないだろうし。

「あのう、これからの生活はどうされるんですか?余計なことですが。」

「実は、、。正太郎さんと私は喫茶店をやっていたんですよ。これからは一人でやっていくつもりです。」

「そうですか、、。そうだ。父のお墓の場所、そこをお教えします!命日の日は母が行くかも知れませんけど、、。地図を書きますね。」

私は手帳に地図を書いて破いてあの人に渡した。

「いいんでしょうか、、。あちら様の、、。」

「いいじゃありませんか?きっと父は貴方と凛ちゃんに会いたいと思ってます。

どうか会いに行ってやって下さい。」

「冴さん、ありがとうございます。」

「いーえ、今夜は来て良かったです。父へのわだかまりが少し溶けたような気分です。ふふふ、凛ちゃん見てたら、なーんかアホらしくなったし。私は私でいいんだって。」

「そうですか?なら、良かった。

あのね、お弁当があと17個も残ってるんです。冴さん、お願い!いくつか持って帰ってくれませんか。」

「えーーっ!そう来ましたか?あはは。確かに17個はねぇ。美味しいお弁当だし捨てちゃうのは惜しいです。じゃあ

5個いただいゃいまーす。」


大きな紙袋に松花堂弁当の豪華バージョンを五個、車に積み込んで火葬場で私たちは別れた。








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