第6話 蝶々
そこから凛ちゃんは私にべったりくっついてきた。
ずっとひとりっ子だったから、くすぐったい気持ちになった。
ふたりで時間潰しに折り紙をしたりしりとりしたり。
凛ちゃんは小学2年、よく笑う子供だった。
私はいつもお母さんの顔色を見てたから大きな声で笑い転げるなんてした事なかった。お母さんははしたないが口癖だったから。
「凛ちゃん、笑いすぎだよ。パンツ丸見えーーっ!」
私もついつい大きな声になっちゃう。楽しい、父が火葬されてるのにね。
火葬が済んだと知らせがあり、私たちはお骨を納めるために部屋を出た。
古い火葬場だから、灼熱のままの父の骨がそこにあった。
父の骨を箸で摘もうとしたときだった。
あの人から大粒の涙が流れ落ちてきた。それは嗚咽となり、やがてあの人は部屋を出て行ってしまった。
「凛ちゃん、心配しないで。ママには少しひとりになる時間がいるのよ。私と一緒にパパの骨を拾ってあげようね。パパはきっと嬉しいとおもうよ。」
「うん、、。凛、冴ちゃんがいてくれるから頑張るね。」
あの人は最後まで戻れなかった。
きっと我慢してたんだろな。本当ならこんな時は親戚とかが手伝ってくれるんだもの。たったひとりでやり切るのは辛かったよね。
「凛ちゃん、ママを探しに行こうか?」
私は凛ちゃんと手を繋いで、火葬場の庭に出た。
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