【6】沙綾 ―「“心の鍵”が、少しだけ回った」

再会は、図書委員だった。

まさか彼が、入ってくるとは思わなかった。


だけど、嬉しかった。

あのノートの続きを、少しでも話せるかもしれないと思った。


「LINE、交換しない?」


そう言ってスマホを差し出した自分に、自分で驚いた。

だけど、彼の反応が、優しい空気を纏っていて――怖くなかった。


少しずつ、私の中に積もっていた言葉たちが、音になって出てきた。


「うち、来てみる? 図書室より、本あるよ」


誘ったその言葉は、私のページをめくる音だった。

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