【4】沙綾 ―「視線のページを、私はめくっていた」
気づいていた。
静かだけど、いつも同じ時間に現れる男の子。目が合うと少しだけ焦ったように視線を逸らす。
不思議と、嫌じゃなかった。
むしろ、その距離感に、少しだけ救われていた。
ある日、私は読書ノートを置き忘れてしまった。
胸がざわついて、取り戻しに戻ったとき――彼がいた。
「これ……落としました」
彼はそう言って、ノートを差し出した。
その目は、嘘を知らない真っ直ぐな色をしていた。
私は、その瞬間に思った。
あ、この人になら、少しくらい読まれてもいいかもしれない、って。
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