第13話幼馴染過激派の優子入部決断
「なんでぇ!?なんでぇ!?これはおかしいです!?」
俺と沙也加先輩は何があったのかと優子に近づく。優子はラノベの本を持ったままわなわなと震えていた。
「優子、いきなり大きい声上げてどうしたの?」
「こ、これ…」
ラノベのページを優子が指差す。
優子が指差した先には……丁度挿絵があるページなのか主人公とギャルっぽいヒロインの女の子のキスシーンが描かれていた。
このシーンがどうしたのだろうか?。
「このページがどうしたの?」
「おかしい所だらけです!?」
優子に詰め寄られた俺は引きながら本当に何処がおかしいのかわからないので聞いてみる。
「えっと…何処がおかしいのか。わからないから教えて欲しいな」
「はい、じゃあ…何故、主人公の男の子は幼馴染の女の子が好きだったはずなのに、幼馴染のことを簡単に諦めてぽっとでの主人公のクラスのギャルと付き合ってるんですか?幼馴染ちゃんはちょっと素直になれなかっただけで主人公と幼馴染ちゃんの間には17年間ずっと隣に居た絆があるはずですよね」
「優子ちゃん、これはそういう話だから」
早口で捲し立てる優子に沙也加先輩は冷静に返す。
ちなみにだが、優子が読んでいるラノベの内容は主人公は好きな幼馴染の女の子がいたが、幼馴染の女の子が主人公に素直になれずに毒を吐いてしまう。要はツンデレと奴で毎日ツンツンしている幼馴染に嫌われているのか勘違いした主人公が落ち込んでいると色々あってクラスのギャルと仲良くなって最終的に付き合ってラブラブになるという糖分多めのラブコメだ。
優子は主人公の事を長年好きだった幼馴染と結ばれずにいきなり出てきたギャルと主人公が結ばれたのが気に食わないらしい。
「けどまぁ〜しょうがないよね。幼馴染ちゃんはちっとも素直になれずに好きだと意思表現をしてなかったわけだし」
沙也加先輩からちょっと辛辣な感想が飛んでくる。
「で、でも悲しいすぎます……。幼馴染ちゃんは、中学2年生から主人公のことが好きだったので実に3年間想っていたですよ」
ラノベの幼馴染に感情移入してるのか悲しそうな顔をしている。
「でも、優子ちゃん恋は弱肉強食っていうし先に想っていても、攻めたもの勝ちなんじゃないかな?」
「まぁーそうですけど…幼馴染ちゃんのツンデレは酷かったかもしれませんが。毎日主人公を起こしに行ったり、弁当を作ってあげたりしてるですよ。これで嫌われていると思う主人公も鈍感過ぎません?」
とうとう、優子の矛先はラノベの主人公に向く。
まぁーラブコメでは主人公が鈍感なのが鉄板だもんね。
リアルで簡単に男子の部屋に上がる。女子は痴女の何者でもないから大抵の人が女子が部屋に来たイコール少し自分の事意識してくれてると思うよね。
「まあーそれは話の都合上、主人公が鈍感であることによってヒロインが誘惑したりとかのイベントが発生するからストーリー的にしょうがないんだよ」
「だとしても、最終的にはこんな逆BSSみたいなストーリーじゃなくて幼馴染と結ばれて欲しいです。じゃないと毎回私の脳が破壊されてしまいます」
優子がBSSという単語を知ってることに少し驚くが、優子は何故か幼馴染過激派になっている。幼馴染と結ばれないと脳が破壊されるような弱々精神のようだ。
なんかネットとかで見る純愛過激派みたいだ。
まぁーこの話は逆BSSに該当していいのか謎だがヒロインが勝手に自滅したようなストーリーだ。
「だから、決めました!幼馴染は負けヒロインという世間の認識を変えるために私今日からラノベ執筆部に入部してから幼馴染が勝ちまくるラブコメ書きます」
優子は真剣な顔で宣言する。
「へ!?まじで優子ちゃん入部してくれるの!?」
「はい」
「やったー!?」
沙也加先輩が喜びからかその場でぴょんぴょん跳ねている。
「優子が入るなら俺も入ります」
「流星が入るなら俺も入部するぜ!」
「まじ!?やったー!?これで部活として存続できる!」
まぁー家に帰っても別にすることもないし部活に所属した方が青春って感じがしていいだろう。
「雄也は良かったのか?俺たちに合わせて」
雄也はチャラ男のためこういうのには興味がないような気がする。
「別にいいぜ。それにこの本めっちゃ面白いしな」
雄也は沙也加先輩に渡されたラノベを気に入ったらしい。
確かに異世界転生系のチートの奴はストーリーのテンポが早いしストレスなく楽しめるよな。
「えへへ」
沙也加先輩は俺たち3人に書いてもらった入部届けの紙を見ながら先程からニヤニヤしている。
部活が存続できてとても嬉しそうだ。
「沙也加先輩、幼馴染と結ばれるラブコメありませんか?」
「それなら優子ちゃんこれなんか終始幼馴染と主人公がイチャイチャするだけのラノベだからおすすめだよ」
「ありがとうございます」
「沙也加先輩、俺も今読んでる奴の続き借りたいです」
「オッケー、一応今6巻まで出てるからこれ」
「先輩、あざっす」
今日は沙也加先輩が先生に入部届けを渡して正式に部活の存続が決まったのと、部活の時間ギリギリまでラノベ読むだけで終わった。
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