第14話始めてのマ⚫️クデビュー
部活を終えた俺達は、学校を出ると午後6時を少し過ぎた時間だが、既に外は暗くなっていた。
今まで部活に所属したことがない為、学校にこの時間まで居るのは始めてだ。
優子と沙也加先輩はあれから、ラノベのラブコメ談義に花を咲かせている。
あっちはあっちで楽しそうだから、俺は雄也と話して暇を潰そう。
「久しぶりに、こんな本読んだ気がするわ」
「少し〜目頭が痛いわー」と言いながら雄也は、目頭を軽く抑えている。
「なんか意外に思えたわ。雄也がここまで本に熱中するなんて」
「俺も自分で驚いてる。そもそも普段本読まないしな」
「なんか、イメージ通りだな。漫画しか読まなそう」
俺が素直な感想を述べると……
雄也は馬鹿にされたと思ったのか。少し「ムッ」とした表情になる。
「流星、少し馬鹿にしてるだろ」
「少し、じゃなくて普通に馬鹿にしてるぞ」
雄也に「この野郎!」とヘッドロックを掛けられる。
俺はヘッドロックから逃れようとするが、雄也の力が強過ぎて逃げられない。
遊びだから、雄也は力を軽く込めていると思われるが、力が強過ぎて完全に決まっている。
このままじゃ、気絶する……。
必死に背中をタップする。
「ん?流星、どうした?」
雄也は自分の馬鹿力に気付いてないのか。
呑気な顔をしている。
本格的に意識朦朧としていると……。
「ぐおっ!?があっ……!?」
人間が死にそうな声が、聞こえたとともに、雄也の力が緩み、雄也の拘束から抜け出す。
コイツ…友達になって始めて知ったが、見た目は細身の癖にゴリラの親戚らしい。
マジで…優子に助けて貰わなかったら、普通に死んでた。
ちなみに、雄也は脇腹に優子の貫手が突き刺さり倒れている。
相当、痛かったのか。地面で体をビクビクさせて起き上がってくる気配がない。
「優子、マジで助かったわ」
「いえ、私が流星さんを助けるのは当たり前です」
「それでも、今回はマジで命の恩人だから何かお礼させてくれ」
今回、マジでこの馬鹿のせいで、締め殺される所だったから、優子に靴舐めろと命令されたら、30分は舐め続けるくらいには感謝してる。
優子は俺のお礼をしたいと言う。思いを受け取ったのか。おずおずといった感じで話し出す。
「わかりました。じゃあ、少し頭撫でてくれませんか?」
「いいよ、じゃあ、撫でるね」
「はい、お願いします」
「ふぁ〜、気持ちいいです」
俺は、優子の絹のような綺麗な髪を優しく撫でる。
優子は気持ちよさそうに目を細めていて、まるで猫のようだ。
「か、か、かっけええええぇ!?優子ちゃん!雄也くんを気絶させた奴。なんの技!?」
さっきから、沙也加先輩、静かだなと思っていたが、優子が漫画の戦闘キャラみたいに、貫手で雄也を気絶させたことに興奮してフリーズしていたようだ……。
沙也加先輩が優子に興奮治まらない。
——という感じで詰め寄るが、優子はご褒美タイムを邪魔されたくないので、「沙也加先輩、後でいいですか?」と低い声を出す。
「すみませんでした。後からします」
沙也加先輩は人間の奥底に眠っている。野生の勘で今の優子には”逆らってはいけない„と肌感覚で感じ取り、高かったテンションを無理矢理下げてから大人しくする。
そうして、俺は優子の頭を撫でて、沙也加先輩は忠犬のように待てをして、雄也は今だにビクビクしながら地面に横たわっていた。
◇ ◇ ◇
「集団で帰ると言えば、マ○クだ!ということで今から、マ○ク行こう!」
やっと落ち着いたので、帰るために歩き始めたら……
沙也加先輩が謎理論を展開して、今からマ○ク行こうと提案してくる。
「今日は、疲れたので明日で良くないですか?」
正直、疲れたので早く帰りたい。
昨日は、変態集団(優子のファン)に絡まれたし、今日も厨二病患者(沙也加先輩)に絡まれて、2日連続で不幸な目に遭って、精神的にしんどい……。
高校生にして、鬱病にかかりそうだ……。
「いーこよ!!流星くんさえオッケー出してくれたら、雄也くんと優子ちゃんも着いてきてくれるから、ね!2人とも」
「はい、私は流星さんが行くなら行きます」
「俺もー」
この2人の俺への信頼は何処から来るのだろうか?
2人とも、知り合ってまだ一週間経ってないのだが……。(困惑)
「私さ、友達が居たことないし、家が厳しくてマ○ク自体も、行ったことないから、友達と行くの憧れてるんだ」
行くか、どうか悩んでいると、追撃とばかりに悲しい話を自らして、同情を誘う作戦なのか勝手に自分でぼっちであることを告白した。
「部活の先輩とかとは遊んだりしなかったですか?」
「してないよ、部活仲間であって、あくまでお互い干渉しないという謎ルールがあったから」
「そうなんですね」
「だからね!お願い、今日皆んなで行きたいの」
「わかりました」
女の子から涙でウルウルしながら、頼みこまれたら男だったら、多分全ての人が断れないと思う。
だから、こういう場面での女の子の涙はチートだと思う。
「やったー!?流星くんありがとう!じゃあ、早速レッツ•ゴー!」
俺たちは、近場のマ○クに向かう。
◇ ◇ ◇
「これが!リア充しか行くことが、許されない伝説のお店マ○ク!?」
沙也加先輩はマ○クに始めて来れて、嬉しいのか終始テンションが高い。
後、声が大きいせいで、注目浴びて恥ずかしいので、もう少し声の音量を下げて欲しい。
「私も、マ○ク始めて来ました」
優子は物珍しそうに店内を見回している。
沙也加先輩に引き続き、優子もお嬢様説濃厚になってきた。
ただの、ファストフード店なのに、4人中2人が初来店という、不思議な状態だ。
「まず、席に座る前に注文しようぜ」
「だな」
俺たちは、カウンターでハンバーガーのセットを頼み。
トレーを受け取って、席に座る。
「これってどうやって食べるんですか?」
「こうやって、食べる」
やはり、というべきか世間知らずのお姫様二人組が、食べ方を聞くのでハンバーガーの包み紙を開いて、そのまま食べる。
「へー、そうやって食べるのね。フォークとナイフで食べるのかと思っていたわ」
ハンバーガーをフォークとナイフで食べるって、何処の貴族様だよ……。
それに、優子は初日にカレー作ってくれたのに、ハンバーガー食べたことないだなって不思議に思った。
「流星さん、このポテト美味しいです」
流石、優子いい所に、目をつける。
「おう、美味しいたろ。だって、マ○クはポテトがメインだからな」
「ハンバーガーじゃないですか?」
優子は不思議そうに尋ねる。
「ああー、ハンバーガーはあくまで副菜で、ポテトがメインディッシュだ」
「そうなんですね」
「おい、流星、桐谷に間違った知識教えるなよ」
「これ、美味しいね」
沙也加先輩も気に入ったようで、ハンバーガーとポテトを美味しそうに食べている。
そうして、食べ終わって、時間も遅いし帰ることになった。
こうして、優子と沙也加先輩はマ○クデビューを果たした。
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