第10話ヒロインが屋上の鍵を持ってるのは普通

初日こそ、変なやつ(優子のファンクラブ)に襲撃されて命の危機になったが、あんな予想外すぎる出来事なんてそうそう起きることがなく2日目はなんとか平穏そのもので過ごしていた。


問題なのは…



「流星さんその問題間違ってますよ」


「何処が間違ってる」


「この問題は……」



問題なのは優子の方である。時間は3時間目の数学の時間。勉強を教えてくれるのは嬉しいが、机同士をくっつけてから尚且つ、優子は俺に体を密着させるのでドキドキして勉強どころではなかった。


1時間目からこの調子なのだ。優子は最初から「先生、教科書全部忘れました。隣に見せてもらいます」と言ってから全ての授業で俺に教科書を見せてもらっている。


普通なら転校生の方が見せてもらうだろうと思うけど普通に教科書が届くのが間に合ってるので優子はこのような奇行に走っているようだ。



「優子その近いだけど」


「私が密着したら…嫌ですか…?」


「くっ、ダメじゃないよ」



優子が涙目で見てくるから嫌とは言えなかった。授業に集中したいが難しいようだ。それに女子の涙(特に優子)は何であんなに罪悪感を抱くのだろうか?。涙は女の武器とよく言われるが対物ライフルくらいの威力はあると思う。


その後、優子の密着攻撃(俺命名)になんとか4時間目まで耐えて昼休みに入った。



「よ!流星、学食行かねえか?」


「おう、いいぞ」



基本的に弁当を作らずにコンビニとかで済ませるので雄也の提案にありがたく賛同して学食に向かうとしたら…


正面に優子が躍り出る。



「優子どうしたの?優子も学食行こうよ」


「ダメです。流星さんには私が作ったお弁当がありますので」


「弁当作ってたの?」


「はい」



優子は学生鞄から風呂敷に包んである重箱を取り出した。登校する時、やけに優子の学生鞄パンパンに膨れているなと思っていたがまさかの弁当だったのか。



「そういうわけだから、本当にすまん雄也学食行けそうにない」


「いや、大丈夫だせ、他の奴と行くわ。逆にここで無理矢理流星のこと引き止めでもしたら桐谷に血の雨降らされそうだからな」



雄也の冗談とも言えない言葉に苦笑いをするしかなかった。雄也と別れた俺らは優子が「お弁当を食べるいいスポットがあるんです」と言われて優子の後ろをついて行っている。


着いたのは屋上に続く扉の前だった。開こうとしたが閉まっている。



「優子、屋上の扉閉まってるし無理じゃないかな?」



普通に考えれば屋上は続く扉は自殺防止の為に施錠されているのが常識だ。



「いえ、私が鍵持ってるので大丈夫です」


「何で持ってるの!?」


「立田先生に流星さんと2人っきりになれる場所ないですか?って聞いたら屋上の鍵貸してくれました」



あの先生厳格そうな見た目してるのに大分寛容な先生なんだな。



「後、学校で淫らなことはするなよって注意されました」


「やらねーわ!!」



俺は思わず思いっきりツッコミを入れていた。


そうして、優子が屋上の扉を開けてくれたので屋上に足を踏み入れる。季節は10月で秋の季節なので少し肌寒いくらいなので屋上で寝ようと思えば気持ちよく寝れそうだ。


優子は丁寧にレジャーシートを敷いて準備をしてくれる。



「はい、流星さん早速食べましょう」


「うん」



まるで宝石箱のように重箱が開かれると色とりどりの食材が詰まっていて美味しそうだ。



「優子、お箸貰ってもいいかな?」


「ちょっと待ってください。はい、あーん」



優子にお箸を要求したら、俺の口に卵焼きを入れようとしてくる。



「自分で食べれるから!」


「はい、あーん」



これエンドレスになる奴だ。俺は諦めて大人しく優子から差し出された玉子焼きを口に入れる


優子には言ってないはずだが、俺の好みのドンピシャの甘い卵焼きでとても美味しい。



「美味しいよ」


「よかったです。流星さんの為に愛情一億5000万%入れておいたので」


「す、凄い愛情入ってるね」



もうそんだけ愛情入ってたらそれは玉子焼きではなく愛情焼きだろう。



「はい!全ての料理に入ってますよ」



とてもいい笑顔でいってのける優子に少しドン引きしながらも次はエビフライを差し出されて美味しく食べる。


その後もお箸は俺には渡されず、親鳥に餌を貰う雛鳥のように全て優子経由で食べた。



「ふうー食べた食べた」


「ご馳走様です」


「お粗末様です」



優子に差し出されるまま食べたから重箱4段もあったが8割近く食べた。上手くてパクパク食べたが流石に苦しくてレジャーシートに寝転がる。もう動けそうにない。


寝転がっているとひょいと頭を持ち上げられて優子の膝に誘導される。



「えっえ?優子膝枕なんていいよ」


「いえ、下がコンクリートなので流星さんの頭が痛くなったら行けませんから」


「私の膝枕どうですか?」


「えっと最高だよ」


「ならよかったです。眠っていいですよ」



どちらにしろ苦しくて動けないので、優子のなされるがままに膝枕される。とても柔らかくて寝心地が最高だ。


それにしても、秋って何でこんな昼に眠くなるのだろうか?。多分なにかの眠くなる魔法が秋にはあるのかもしれない。(絶対違う)


優子の膝枕の感触を頭で楽しみながら、心良い気温に抱かれながら昼寝に勤しんだ。




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作者の池田春です。


思った以上に★&フォローが増えていて自分でもびっくりしています。本当にありがとうございます。)^o^(


引き続き『リボン✖️ボカコレ✖️カクヨム超メディアミックス小説大賞』に応募中です。


現在、『メディアミックスが週間一位』『ラブコメランキングが週間27位』に位置してます。読者様のおかげです。


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