3話 拡がる穢れ
少年は中学生になった。普通の学生なら学校も変わり新たな友が出来るであろう事に胸を躍らせ喜ぶ事だろう。だが少年の顔はとても暗かった。それこそ前日にお通夜にでも出たような顔で学校に向かって登校していた。何故なら少年は小学校で4年にも渡り虐め続けられていて自殺しようとすらした程だったからだ。今日は始業式で始まり教科書などの教材を渡されてそれを受け取って帰るだけ。それでも憂鬱になるほど学校に行くのは嫌だった。少年は自分の割り振られた教室で隣にいた眼鏡の男子もどの教室か調べているうちにお互いの手がぶつかった。
「ごめんなさい」
少年は謝った。そして逃げるように自分が割り振られた教室に入っていき席に座った。そしてしばらくして先程の眼鏡の男子も同じ教室に入ってきた。割と席が近くさっきの事を謝られた少年は心底驚いた。まだ世の中にはこういったいい人もいるんだなぁと。まぁそれだけ同年代の汚く穢らわしい部分を4年間もみて経験して感じてしまったからだ。無事中学校1日目を終え数週間過ごすうちにあの眼鏡を掛けた男子生徒とは友人かんけいになった。ただこの時も怖かった。友人だった者が虐めてくる怖さではない。友人が自分と関わったせいで彼までもがターゲットにされてしまうのが怖かった。そんなある日1週間に1回はある英語の単語の綴りを書く小テストがあったここ数週間は事前に勉強をしっかりしていたのと意外と自分の記憶力が良かったことなどさまざまな要因が重なり満点をとっていた。そしてその日のテストも満点だった。ただ問題はその後に起きた。全ての授業が終わり掃除の時間になって1人の生徒が教師に報告をしていた。話を聞いていると何でも少年の机にその日のテストで出た問題全ての単語の綴りが机に書かれていたらしい。そしてこの報告していた生徒は中学校になって新しくイジメグループに入った奴の1人だった。結果少年は担任から先ずカンニングをしたのかと言われそれを聞いていた周囲の生徒は疑惑の目で少年を見た。そこに英語の担当の先生も話を聞きやってきてカンニングをしたのかと聞いてきた。少年は結局再テストする羽目になり周囲からの疑惑の目などがあった為、本当の調子を出すことが出来ずテストの点はかなり下がった。結果イジメグループはこの結果を知り少年がカンニングしていたと誰これ構わず同級生に触れ回った。そして過去に満点を取れていたのもカンニングをしていたからだと言われてしまい直ぐにデマが流れてそれ以降少年はテストでいい結果を残す事が出来なくなってしまった。それが更に起爆剤となりより一層周りから疑惑の目で見られる様になった少年は友人以外の同級生を信じることが出来なくなってしまった
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