2話 続く穢れと一度壊れた心
少年は未だに虐められていた。もう小学6年生なるので少なくとも4年は虐められ続けているもう既に担任を含めて味方はいない。両親に相談しても理解してもらえない。もうこの頃になると授業の妨害や病原菌やバイ菌扱いは普通で遊ぼうと言われて遊んでも彼らの目的は少年ではなく少年の持っているゲームであり都合がいい時だけ利用される形だった。でも少年だってやられっぱなしでは気が済まなかったので虐めてくる相手の言う事を無視したりやる事を否定したりしていた。それにもしかしたら虐めから抜け出すチャンスだってあったかもしれない。でもそれはとても残酷な対価を払わないといけない事だった。要するに自分の身代わり、つまり贄を差し出せば虐めが終わったかもしれないが少年はそれをしなかった。出来なかった。確かに助かるならいいのかもしれない。けど自分のせいで他の誰かがターゲットにされて虐められるのはとても耐えられるものじゃない。偽善者と言われればそれまでだがそれでも少年はその方法はとらなかった。いやとらなくて正解なのだ。虐められるのは自分1人で充分。そう思える程に少年の精神は摩耗していた。そしてある日その事件は起こった。体育の授業の後、体育館から教室に戻ろうとする中でイジメグループの1人がわざとらしく少年の体に触れてきた。そして少年に向かって言い放った。
「うわーバイ菌が付いた」
そして更にイジメグループの人間は互いに触れ合って何度も汚い、穢らわしいと少年を罵った後水飲み場の蛇口で手を洗ってこう言った。
「あー汚かった。もう少しで病気になる所だった」と。
そしてイジメグループは笑いながら皆で教室に戻って行った。その時少年の心は一度折れてしまった。すぐこの後は給食だった。そして皆が給食の準備をしている間に夏の暑い日だったので窓が空いていたのでそこから飛び降りようと自殺しようとしてしまったのである。この学校の校舎は4回建の建物だ1階に玄関2階が1年生と2年生の教室
3階が3年生と4年生の教室で5年生と6年生の教室は屋上を除けば最上階だ。そんな所から落ちたら命は助かっても二度と意識が戻らなかったりその後の生活で再起不能な障害だって残る可能性もある。最悪死んでしまうかもしれない。でも少年は実行に移そうとした。もう心が折れて壊れかけてしまっていたから恐怖は無かった。むしろこれで解放されるならとすら思ってしまった。けど邪魔が入った。先ず今までまともに対応すらしてこなかった担任が心のこもってない言葉で説得を始めて時間稼ぎをして他の生徒に他のクラスからも教師を呼ばせて最終的に少年は担任やその教師達に取り押さえられて飛び降りれなかった。その後給食は別室で摂ることになりその後事情を聞くと言う名の尋問が始まった。少年はこれまでの経緯や虐めの内容そしてそれをやっていた人間を事細かく話した。でも担任は表情変える事なく迷惑になるだのなんだのと説教をしてこちらの気持ちを少しでも汲み取ってくれようとはしなかった。結局その日は尋問の後、親が迎えに来て早退扱いになった。そして家に帰ったら帰ったで今度は父親が職場から帰宅してからまた尋問が始まった。一応イジメられていた事を完全に理解したかどうかはわからなかったが話を聞き終わって学校に連絡を入れて後日また担任と話をする事になった。その時少年は笑っていたが目に光は灯っていなく空虚笑い方をしていた。翌日、イジメグループや虐めていた人間達から話を聞いた担任がまた尋問にやってきた。そして今回の騒動を起こした原因を事細やかに少年は説明してせめてもの謝罪を要求した。でも担任からの返答は少年をより深く傷つけて絶望に堕とす内容だった。
「虐めていた理由は少年が自分達の話を無視したりやっている事を否定されたからであって決してこちらから始めた虐めではないということ。故に少年の方にも責任があり何より今回自殺未遂騒動を起こした為直接も間接的にも謝罪は必要ないと判断した」と担任は少年に言った。確かに無視をしたりやっている事を否定した事に自覚はあるしそれがいい事かと言えば良くはないだろう。けどそれの原因こそ虐められていたからでありこれで小学校での虐めから解放される可能性はより低くなった。そしてイジメというのは伝染するタチの悪い病原菌みたいなものだ。きっと中学校に進学したら別の校区の学校の生徒とも授業を受けて生活する事になる。そうなったら更にイジメは拡大していくだろう。そう思うと少年の心の中は絶望感で満たされていく。そして結局、小学校ではイジメは解決する事なく少年は小学校の課程を終え卒業する事になった。
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