連作短歌「光の棺」

ナクキザシ

光の棺

飛行機の急な加速でひと呼吸死を覚悟して旅の始まり


トンネルを通過するバス過包装の菓子になったようで苦しい


知らぬ街で一人彷徨う目は常に君と食べるアイスを探す


やわらかな蛸の刺身を食みながら君の耳の形を思う


深夜帯ライブ終わりの君を待つ 月は奇麗で瞼は重い


これでよく眠れるよってアイマスク 君の魔法に騙されてみる


松江城 太陽ホカホカ浴びながらスマホで見つめる日本ダービー


ツーショットだけは失敗していない写ルンですの現像データ


旅先の店を友達登録し帰しても届くクーポンに笑む


暗がりをはしる寝台特急のシングル個室は光の棺

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連作短歌「光の棺」 ナクキザシ @byebye263

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