第7話 【閑話】フォールウェザー家

【フォールウェザー・カイニス視点】


 息子を送り出した島が沈んだらしい。


 ……にわかに信じ難いのだが、先程偵察部隊から連絡が入った。

 内容はローグを送り出した島が謎の海底地震により沈んだということだった。

 しかしあまりにも都合がいい。

 どうせあの息子は生きてなどいないだろうが、万が一生存するかもしれないと気が気で仕方なかったのだ。


 さらにいえば、評判の悪い息子を島に送り出したら、魔物に襲われて死んでいた。というシナリオは、人によっては怪しいと思うかもしれなかった。


 しかし今回の出来後で、やつは偶然の海底地震に巻き込まれ、島ごと沈んでしまったというシナリオに変えることが出来る。

 海底地震を起こせるような魔法など存在しないし、それなら完全に不慮の事故としてみなせるだろう。


 先程エースや執事のバトラにも伝えたが、やはり二人とも喜んでいた。

 まぁ当然か。

 やつの死を悲しむやつはこの家にはいないのだからな。


 _________________________


【フォールウェザー・エース視点】


 兄が死んだらしいです。

 やったぁ!と叫びたい気持ちを抑えながら、僕は悲しいですねと戯言を父親に告げます。


 でもやっぱり嬉しいです。

 だって確実に死んだと言えるのですから。

 正直、あの太った豚ボディだと割と生き延びるのではないか?そんな話をバトラさんに聞かされた時、心底慌てた僕でしたが、そんな心配を吹っ飛ばしてくれる出来事が起きたことで僕の心配は消えました!


 やっぱり僕はついているのです。僕に世界が微笑んでいる、そう思えて仕方ないですね。


 それにしても葬式までするなんて、お父上は優しいです。

 あんなカス豚なんてさっさと丸焼きにすればよかったのに、そしたらきっと美味しそうな匂いをしながら泣き叫ぶ姿が見れたでしょうに……。


 ま、僕はこうして次期当主を約束されました。

 んー、最高ですねっ!!


 _________________________


【バトラ視点】


 どうやらあのクソ豚野郎は死んだみたいですな。

 安心しましたぞ、私。


 流石にあんな場所に置き去りにすれば死ぬと思うていたのですが、たまたま見つけた見聞録に「太っているとサバイバルでも生きれますよ!」的なものを見つけたことで、心配で仕方なくなってしまったわたくしなのですが。

 何はともあれ、死んでくれて嬉しいかぎりです。


 ぶっちゃけた話ですが、あんな僻地に何度も行かなければならない可能性はごめんでしたからな。

 理由をつけて逃げようかと思っていたところですぞ。


 やーこれでスッキリですぞ☆


 _________________________




 閑話でございます。

 どこに差し込むか悩んだ結果、ここにしました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る