第6話 水の中でやること

 結論的な話をしよう。

 あの後、アビサル……本人はフィサリオと呼んで欲しいと言っていたあの子はクラゲの姿に戻った。


 そして目の前でクラゲから人への変身を見せてくれたものだから、まぁ信じるしか無かった。


 そして彼女はどうやら純粋な水を食料にしているらしく、その為普段は近くの水場の中に暮らしてもらいつつ、たまに水を浄化してあげる形での契約を交わした。


 まぁ昔から魔物には好かれやすかったもので、気にすることじゃない。

 むしろ人の方が俺は苦手だ。


 さてそれはそれとしてなのだが、島が半分以上沈んでしまったことについて話したいと思う。


 _________________________


 先程述べたのだが、彼女に人型からクラゲ型に戻って貰った時に、彼女はうっかりとミスをした。


 彼女はに戻ったのだけれど、そこに一つの勘違いがあった。

 長年の傷や劣化、精神疲労などから彼女はどんどん縮こまっており、ここ数百年はあの100メートルのサイズになっていたらしいのだが……。


 実際のサイズはもっと大きかったみたいで。

 ……詳しく測った訳じゃないのだが、彼女の本来のサイズは……まぁ、ざっと見積って30


 わかりやすく言おう、この無人島と同じサイズだ。


 そんなものが急に地上に現れ、しかも先程の戦闘でこの島を支える支柱にもダメージが蓄積していたこともあり、島は轟音と共に崩れだしたのだ。


 幸いな事にフィサリオが慌てて支えたことで、半分だけの破壊で済んだのだが。

 少なくとも工房には最早できないだろうことは明確。

 さらにいえば、居住スペースや鍛錬の場所すら確保が怪しくなっている。

 既に島の半分は消えたのだが、さらにその半分もどんどん崩れ始めている。


 多分あと数日で崩れて完全に消えてしまうだろう。


「うゎぁぁぁ!?すみませんッ!!」


 フィサリオは謝っていたが、こちらも気にすることでは無いと伝えている。

 別に大きいのはいい事だ。

 実際の話、彼女はデカイ。


 ……どことは言わないが。

 ともあれ、仕方ないので俺は水の中に訓練場を作ることにした。

 適当に海の中を散策して拾った遺跡の欠片などをいい感じに設置し、それを舞台のように並べる事で水の中に巨大なスペースが生まれる。


 まぁいい筋トレにはなるんじゃないかな?

 こんな水圧のやばい場所でやるのは正直どう転ぶか分からない。

 つまりワクワクするって事。


 _________________________


 あれから1ヶ月が過ぎた。


 うん。想定外だったかな。

 まさか愚者の魔力が水圧でより固められて、さらに深海に溜まる死骸などの魔力が純粋にされることで明らかに地上よりも優れた肉体が出来上がってしまった。


 しかも常に水圧がある事で、魔力操作に負荷がかかり、それになれるために自然と魔力操作が鍛えられてしまった。


 ……ぶっちゃけ前世の10パーセントぐらいのステージに到達してしまっている気がするのだが?

 ま、使わないしいいか。


 フィサリオはそこら辺を人の形になりながら飛び回っている。

 この1ヶ月でわかったのは、彼女はとてもいい女ということだった。


 ……何がとは言わないが、そこら辺の人間には不可能な動きができる。ナニがとは言わないが。


 ……さてと。

 そろそろやらねばならぬことがある。


 そう、それは──────、居住地を見つけることだ。


 候補としてあるのが『海洋国家アルビオン』と『水上国家ドランパス』、『氷帝国家フリザフド』当たりだろうか。


 ここらの国は他の国に比べて比較的身分にこだわらない小さな国だ。

 特にアルビオンに関しては立地も含めて実に良い。

 問題があるとすれば、場所ぐらいだろうか。


 ……まぁ流石に海底400メートルにある国とか、誰も行きたくないわな。


 真っ暗だし。



 _________________________


 少し短いですがご了承ください。

 のんびり書いて行きます。

 ぜひ高評価おねがいします!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る