10
おぼんにビール瓶とグラスを持って女史が現れました。
「強いんですよね。」
と笑みを浮かべられました。
「つまむものも要りますわね。」
と言ってまた出ていきます。
「こんなものしかないですけど。」
とおっしゃって、ボールのようなものにポテトチップスとかが入れられていたものを持ってきてくださった。
それから2つのグラスにビールを注ぎ、
「再会に乾杯!」
とグラスとグラスを重ねました。
私の手は震えてしまい、いっぱいに注いでいただいたビールが少しこぼれました。
こんな瞬間が待っていたのかと思いますと、さっきまでの不安な自分が嘘のような気がしてまいります。
ビールが乾いた喉にごくっと冷たく通ると、それをきっかけにしたのかでもあるように、涙があふれてまいりました。
「いやねえ、泣かないで。せっかくの再会でしょ。」
と女史はおっしゃって、からのグラスにビールを注いでくださいました。
「すみません。」
グラスを持ったまま深くお辞儀をすると涙がぽたぽた落ちてきて、お宅の絨毯を濡らしてしまいました。
「すみません。」
「変わらないですね。」
顔をあげると、女史が優しく美しく微笑んでいらっしゃいました。
やっとお会いすることができました!
二杯目のビールも喉の奥に飲み込まれていきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます