第四十五節 儀の所以
畳に円を描いた夜
思い出される忌みし記憶
部屋に入れば
墨の匂いがまだ残る
儀式の記憶の時のまま
何も変わらない
そこに戻りし
感覚に囚われる
誰にも言わぬ手順を踏み
誰にも見られぬ声で呼んだ
空気が沈むとき
窓の外に壁が現れる
闇の壁が迫り来る
それが視界を覆う時
いつの間にか 部屋が変形し
四方から視線が集まってくる
手順どおり灯を消す
決して振り向いてはならない
軋む音が式を確認する
それは誰でもない存在の拍手
記憶の音と、現実の音
重なり私を苦しめる
耳元で囁かれる
目の前に闇が迫る
儀式は終わったはずだったのに
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます