第四十二節 名を継ぐ者
祠で鳴った鈴の音
神の声が降り注ぎ
私は私で無くなっていた
私は私ではなく
家系の何かになっていたい
母の名を継いだ日
紙のように薄い皮膚の下
指先に刻まれた模様が
誰も知らぬ声を呼んだ
名は祝福などではない
囁き、記憶、消せぬ手形
祭壇の下で燃え残る言葉
「私はもう、わたしではない」
鏡を覗くたび 他人の目
夢に現れる 知らぬ手紙
差出人は名だった
私の中で 微笑んでいた
扉の隙間に咲く歪な花
足音が二つに増える頃
記憶の底で何かが笑う
その名に選ばれし者は
何を思うだろう
何を思えど変わらない
運命は決まりきっている
どこまでも逃げようと
どこに
逃げようと。
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