踊り場で揺らぐミッドナイト

早瀬 渡

踊り場で揺らぐミッドナイト


回りくどい道を歩いてわるくない夏の日の夜溶ける氷菓


いらないものばかり見える眼鏡を乗っ取って上弦の月を見せてよ


指カメラ笑って古いと遮って その近い顔 熱を感じる


ギター弾く指先のあどけなさ 素人の爪先立ちで微笑んで


イヤリング甘えた声で振り落とすその残酷な瞳の奥に


傲慢な態度で示してあさってはバッドエンドを口にするから


赤い陽が傾くほどには貴方の横顔を瞼の裏に刻んで


夕暮れにあとかたもなく笑って これに乗ったらもう逢えないから


トタン缶思い出詰めて蓋をする冷たさしか残らない夏


消えたいほどダサい毎日しっかりと存在したまま朝を迎える

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踊り場で揺らぐミッドナイト 早瀬 渡 @omomuro2025_06

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