#6
『お前さん…コンパス持ってるじゃろ?それをここのテーブルに置きなされ』言われるままポケットからコンパスを出して置く。
相変わらず磁場のせいか回転している。
『まるで人生のようじゃの…終わりのない迷宮に飛び込んだ時のような…』とコンパスを見つめながらつぶやく老人。
「そうだな…俺うつ病やっちまってさ…それで自分を見つめ直す為に登山を始めたらこの有様だよ…みっともねえよな…」と老人に愚痴を吐いてしまう。
『それで良いんじゃないかとワシは思うぞ?一度ドン底を見たヤツは復活した後はそう簡単に心は折れん。ワシはお前さんを信じておるぞ?人生は山登りと同じじゃ。
そしてこう言った洞窟のように避難場所も大切じゃよ。逃げたら恥とかいうヤツも居るが、人の言葉を鵜呑みにするな。お前さんは自分の道を信じて歩くんじゃ!』
その言葉に自分の歩くべき道が見えた気がした。
その瞬間あれだけ激しく回っていたコンパスがピタリと止む。
その針は出口へ導くように微動だにせず止まっていた。
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