第20話 向かうべき場所へ


4人は、マユキの部屋に入った。

 それぞれテーブルに座る。


「それで、レインの用事は何だ?」と、マユキがレインを見る。

 ペン汰とソータもレインを見る。


「もしかしたら、もう知ってるかも知れないけど」とレインが真剣な表情で話す。

「特戦隊の隊長…ゼノさん。あちこちでペン汰くんの事聞いてるみたい。試験の後、うちの家にも特戦隊の隊員が聞きに来てたみたいで…」とレインは、ペン汰を見る。


「十中八九ペン汰のあの力を見たからだろうな…」とマユキ。

「クロウの事もあるかもなー」とソータ。


「まぁ、それでね。もしペン汰に特戦隊からのスカウトが来てても、行かない方が良いよって言いに来た…余計なお世話かも知れないと思ったんだけど…」とレインはマユキを見る。


「ありがとう、私もしばらく家に戻ってなかったから、その情報は知らなかった」とマユキは、レインにお礼を言う。

「レインさん、ありがとう!でも、僕は第一隊に行く事に決めたよ!」とペン汰。


「そっか!なら良かった…じゃあ、私も第一隊にいく」とレイン。


「んん?お前も第一か?」とマユキ。

「うん、本当は第三隊に行くべきなんだろうけど…」とレインは、マユキを見る。

「まぁ、家系的な事をいえば、女性は3隊を目指すのがならわしだが…。それは、お前が決めればいい。家には私から伝えておく」とマユキはレインの背中を押す。


「うん、ありがとう。せっかく見つけたライバルを失いたくなくて。ゼノさんがこのまま引き下がると思えない…」とレイン。


「おぉ、良かったじゃん!ペン汰」とソータがペン汰を見る。

「うん、レインさんが一緒に居てくれるなら心強い」と嬉しそうなペン汰。


「これは、リュウの所は忙しくなるな」とマユキは、笑う。


「ひとまず、3人が入る隊は決まったな!決めたからには全力で頑張れ!」とマユキは、激励する!


3人は、頷く。


「ゼノのことは、私も本格的に調べてみる。お前達は、自分が強くなり目標を達成する事に全力を尽くせ!」

「レインは、ひとまず家に帰って準備だ」

「明後日が集合日。この前試験のあった軍訓練施設のホールに集合する事になっているみたいだ」とマユキは入隊の詳細用紙をみる。


「じゃあ、私は帰ります。またね!ソータ、ペン汰」とレインは、手を振る。


「うん!また明後日」と、ペン汰とソータも手を振る。


 ――集合日当日。

ペン汰とソータは、首都アズリスの軍訓練施設の前に来ていた。

「2週間前だけど、なんだか懐かしいな!」とソータ。

「うん、試験の時以来、来てないもんね」とペン汰。

 2人は施設内に入る。

「たしか、ホールに集合だよな」とソータ

「うん!すぐそこだから入ろう」

 ペン汰とソータはホールに入った。

 ホールには椅子が用意されており、すでに係が待っていた。

「空いている椅子にどうぞ、後10分程で説明があります」と係が案内をする。


 ペン汰とソータが椅子に座ると、見慣れた顔が近づいてくる。

「おい、ペン汰。お前は、スカウトが来ているだろう。どこに入る?」

 クロウがペン汰の前に立つ。

「君に教えるギリは無いよ。ソータに酷い事したからね。許したつもりも無いよ」とペン汰

「今は、まだ時期じゃ無いからな、しっかり訓練して待ってろ。その時が来たらぶっ倒してやる」とソータは睨んでいる。


「……ソータ、お前に用はない。言わないんだな。ペン汰。特戦隊からもスカウトが来ているはずだが」とクロウは顔色ひとつ変えずにペン汰を見て話す。


「だから…君にそれを教える気はない。僕もソータと同じ気持ちだ。訓練して待っててよ」とペン汰もクロウを睨む。


「ふん。まぁいいさ。手っ取り早く…と思っていたが。お前らこそ首を洗って待っていろ」と、クロウは去っていった。


「もう、気分悪くなっちゃった。ソータ!じゃんけんしよ!」とペン汰

「な、なんで今じゃんけんなんだよ」と、ソータは笑う。

「次、クロウと戦う事になったら、どっちがやるか」とペン汰も笑う。

「なるほど!やろう!」と、ソータ。

「最初はグー…ジャンケン…」

 ペン汰は、パーを出す。ソータはグーを出す。

「はい!僕の勝ちだね!」先に戦ったらダメだよ!

 とペン汰は、笑顔。ソータは悔しがる。


「揃いましたね!では、今日の流れを説明します」

 と、係が話し始める。

「まず全員に、軍服を配ります。まだ、章は何もついていません。訓練生の間は章はありません。

 正式に入隊となった場合は、隊毎の章を隊長から渡されます」と、にこやかに係が話を進める。


「次に、スカウトのなかった方。今日は、これで終わりです。訓練施設横の寮に行って名前を登録してください。それぞれの部屋が割り当てられます。

 スカウトがあり、どこかしらに入隊意思のある方は、個別に事務局まで来てください。事務局個室にて希望する隊を伝えてもらいます。その後、隊長への紹介。所属隊専用の寮への案内があります」と係が説明を終える。


「では、軍服を受け取り。それぞれの行くべき場所へ向かってください。お疲れ様でした」

 係が敬礼する。

敬礼に合わせ、ペン汰達も立ち上がり全員敬礼をする。


「よし!行こう」とソータ。

「ちょっとまって、レインどこだろ?」とペン汰は、辺りを見回す。


「おーい」とレインが手を振っている。

「じゃあ3人で行こう!」とペン汰達3人は、事務局へ向かう。

 

 


 

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