第19話 僕決めたよ


スカウトの封筒が届いてから3日後。


「マユキさん!僕決めたよ」とペン汰がマユキの元へ駆け寄る。


「そうか…それで、どうするんだ?」とマユキ

「うん…第一隊に行く事にした」とペン汰。

「第一隊…リュウのとこか。ちょっとバトルジャンキーな所もあるが…悪いやつじゃない。いいんじゃないか」とマユキは腕を組んで話している。


「ただ、あの隊は、3隊と同じで、戦いの最前線に行く隊だ。敵に対して容赦をしている暇なんてない…。

 お前の1番苦手な所だろう?大丈夫なのか?」と心配そうなマユキ。


「うん……でも、そこが僕の良いところでもあり悪いところでもあるって、いつも皆んなから教えてもらってるから。そこを克服出来るように選んだんだ」と真剣な表情のペン汰。


「……ペン汰。戦場では、命の奪い合いになるだろう。それは、その場では仕方のない事かもしれない。だが、わすれるな。倒すのではなく、正す事が出来る場面もあるはずだ」マユキは、真っ直ぐにペン汰みる。

「そこも忘れてほしくない。お前なら出来るはずだ」


「うん…何だか難しくて、今の僕には、分からないけど…覚えておくよ」とペン汰はニコリと笑う。


 マユキもニコリと笑う。


「よしペン汰がそう決めたなら、私は応援するよ。

 ソータにも伝えておいで!」とマユキはペン汰の背中をポンっと叩く。


「はい!行ってきます」とペン汰は、ソータの所に走った。


その頃ソータは、木から木へ飛び移る練習をしていた。

「とりゃ!おりゃ!」次々に木に飛び移るソータ。


「おーいソータ!」ペン汰は、ソータを呼ぶ。

「うん?どうした?ペン汰。今修行中なんだよ。

 カッコいいだろ?飛び移る姿」と自慢げなソータ。


「そうだねーソータお兄ちゃん、カッコいいよ!

 でもね、僕ならすぐ侵入者だ!って気付いちゃう」とペン汰は笑っている。


「なんでだよ!素早く飛び移れてるだろ!」とソータはペン汰の方へ飛ぶ。

「よっと!」ソータは、ペン汰の前に着地する。


「……それだよ。ソータ」ペン汰は、ニヤニヤしている。

「どれだよ?」ソータは、首を傾げる。

「ほんと、おバカだよね。ソータ」とペン汰は、大笑い。


「だーかーらー。なんだよ!おしえろよ!」とムキになるソータ。


「じゃあ、もう一回飛んでみて。あそこの木に飛び移ってよ」とペン汰は、近くの木を指差す。


「いいぞ、とりゃ!」とソータは気に飛び移る。


「あははは!それだよソータ!」ペン汰は、大笑い。

「はぁ?」とソータ。

「だって、飛び移る時に、そりゃ!とりゃ!とか言ってたら気づかれるでしょ」とペン汰は、笑う。


「…なっ……そ…それは、練習中だからだ!」とソータ。ムキになって言い返す。


「練習で言ってたら、咄嗟の時に声出ちゃうでしょ?」とペン汰

「任務中に、声出て。あ…やべぇ…って言ってるソータが簡単に想像できるよ」とペン汰は、笑う。


「ま…まぁ、そうかも。自分でも想像できた…一応、ありがと」とソータは、照れている。


「あ、それでね!僕どこに行くか決めたよ」とペン汰。

「おぉ、ついに決めたか!どうするんだ?」とソータは、ウキウキしてペン汰の隣に行く。


「うん。第一隊に決めたよ」とペン汰。

「第一隊って…最前線じゃん。大丈夫なのかよ!ペン汰」とソータは、びっくりと心配が混ざったような顔をしている。


「うん、もう決めた」と真剣な顔のペン汰。

ソータはペン汰の顔をじっとみて話し始める。

「目標の為なんだな。わかった!」とソータは、納得した顔。


「俺も、俺の目標のために頑張る!お前も頑張れ」とソータは、ペン汰の背中をポンっと叩く。


「うん!お互い頑張ろう!ソータ」とペン汰は笑顔。


 その日の夕食。マユキは、2人の横に座る。

「2人とも、どうするか決まったな。あと4日あるから、しっかり準備しないとな」


 次の日。

「ペン汰!ソータ!マユキさん!」と院の入り口で叫んでいる。


「ん?誰だ?」とマユキ

「なんか聞き覚えのある声だね」とペン汰?

「レインの声に似てるよな」とソータ。

マユキが顔をしかめる。「ん?レインって、うちのレインか?」

「え?うちの?」ペン汰とソータは、顔を見合わせる。


「ちょっと言ってみよう」と3人は、入り口まで向かう。


「レインじゃないか!」とマユキが声を上げる。

「え?レインさん。」とペン汰はびっくりしている。


「ペン汰とソータ2週間ぶりだね!マユキさん数年ぶり!」とレインは笑う。


「っていうか、レインとマユキ先生知り合い?」とソータは、2人の顔を見る。


「まぁ、遠い親族だ。レインの薙刀は私仕込みだ」と、自慢そうなマユキ。


「マユキさんが薙刀??一回も見た事ないよ」と、びっくりしたペン汰


「ペン汰が模擬戦の時、やけに薙刀の間合いを読んでくるなって思ってだんだよね…マユキさんの教え子って聞いて納得したよ」と腕を組んで頷くレイン。


「コイツらとの訓練は、剣しか使ってなかったが…気付かず癖が出てたのかもな…」とマユキ。


「それで、ここに来たのは、何か用事があっての事か?」とマユキがレインに問いかける。


「まぁねー。でも、とりあえず中に入れてよ?」とレイン


「あぁ、すまん。中に入ろう!皆んな私の部屋に来い」と4人はマユキの部屋に向かう。


 

 



 


 

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