6章『閉点』

終話「終わりの始まり」

正門を超えた先は塔の部屋の中だった。

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙…………只今ただいまぁ!!!」

そう言ってボクは床にうつ伏せ寝そべる。

「煩いな。…………おかえり、七番目。」

そう言われてぐるんと身体を転がせた視界の先には吸血鬼が居た。

「「おかえり〜!」」

と言いながら故と憩さんが上に乗っかってきた。

「おやすみ〜。」

そう言って故はボクの上で眠ってしまった。

(仕方ないな……もう…………。)

そう思いながらもぽすぽすと頭を撫でる。

(髪ふわふわだ…………気持ちいい……。)

「天使様は故ちゃんにお熱だねぇ……。うん、こういうのって可愛らしいよねぇ。」

「うるさい…………。」

「素直じゃないなぁ……。」

ボクの腕に背を向けて調律者が座った。

「…………おかえり、だな。天使。音は役に立ったか。」

(アレのおかげでそれなりに意識が戻ったから……)

「うん、役に立ったよ。ありがと。」

「…………どういたしまして。」

「おかえりなさい、天使の方。」

「ただいま、先生…………あっ待って故重い。」

「女の子に重いはちょっとねぇ…………。」

「う〜ん……。」

「失礼な事を言ったなお前。」

「ごめんじゃん。」

「本人に謝れ。」

「それはそう。後で謝るわ。」





「あ、帰ってたんですね。」

「おかえりなさい!天使さん!」

「兄妹揃ってそれなりに元気だねぇ……。」

「ね。すっごい元気。見てるだけなのに眩しい。」

「ボク1回寝るね…………疲れた。」

「わかった。早く寝ろ。」

「おふとんほしい……。」

「はい。」

「投げようとしないでください。」

「寝っ転がって〜」

「ね、寝っ転がって〜……??」

さだれがボクと故の上にゆっくりと布団をかけた。

「おやすみ〜。」

「おやすみなさ〜い。」

ボクはゆっくりと瞼を下ろす。


周囲は少しだけ騒がしいけれど、その騒がしさが好きだ。



力を抜き。……でも故の頭を撫でる手は止めない。





(おやすみ、故。)





ー憩視点ー

あれから、少し騒いだり……遊んだりした。

わたくしと吸血鬼の彼女以外は疲れたのか眠ってしまった。

「…………仏の事は。」

「お騒がせしました。」

「大丈夫だ。」

「身体を動かせる機会だと思えば柔い柔い。」

「そう……なんですねぇ。」

「…………突然話を始めてどうした?しみじみでもしたのか?」

「まぁ…………そんなとこ。」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「…………。」





空は昏くなり、夜が来る。

宇宙の小粒の石が星という名を付けられて輝く時間が来た。

わたくしは、今日もそんな“日”を眺めている。








わたくしは、“毎日という時間”を視ている。

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