4章『縁点』
ネタ話「バカアホの話」
「カス」
「ゴミ」
「アホ」
「バカ」
「死ね。嫌い。」
「ぁ゙……ぅぅ゙っ…………!!」
理科室の天使が膝から崩れ落ちた。
「…………なにこれ。」
「2人で暴言と喧嘩の練習してる……らしいよ〜……。」
「えぇ……。」
「……あれだねぇ。五番目と三番目達がいなくてよかった。」
「…………確かに?」
五番目は本気で心を折りに来るし、三番目の兄妹は本気で止めに来る。
「極端だよねぇ。あの3人。」
「確かに極端かも。」
「……。」
耳鳴りが煩い。また何も聴き取れない。
面倒な身体だなぁ、とわたくしは思った。
「それでねぇ゙…………ッ!?」
憩さんが着物の袖を引っ張られてどこかへ行ってしまった。引っ張ったのは多分故ちゃんかな。最後に見た位置が近かったからそう思った。
故ちゃんがいる方を見ると、憩さんはイスに座っていた。
(あ、散髪か。)
(髪長いから動きづらそうだもんね。わかるわかる。)
「憩さん、どのくらいまで切ってほしい?」
「ん〜…………。」
「じゃあ、膝辺りまでで。」
憩さんは確かにそう言った。それは私も聴いていた。
故ちゃんは憩さんの髪を一房にまとめて手で握り、太腿辺りのところにハサミの刃を当てて思いっきり切り落とした。
「は???ちょっと!?」
「……。」
ふざけて切り落とした故ちゃんは目を逸らした。自業自得だ。
「え……えへへ……?」
「髪が長い事を利用して色々やってたんだけど!?」
「あっ……あぅ……。」
「………………。」
色々、の内容が気になるけど占い師ならその内容の予想はできる。まぁその……占いに使ったり…………とか?とにかく色々。
(憩さん結構怒ってるなぁ……。)
「ど、うしたら許される?」
「ん〜……。」
憩さんが故ちゃんに何かを耳打ちした。
(なんだろう……?)
「あ、そ、それなら…………できるかも。」
「じゃあ行ってきて。」
「…………うん。」
膝から崩れ落ちたまま動かない天使のところに故ちゃんが向かう。
「……お兄様……その……。」
「……お兄様……………………?」
(さっきので心折れてるんだろうなぁ。)
「わ、わああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
故ちゃんは天使に勢いよく抱きついた。
「……あ、え……な、なに……??」
「憩さんへの懺悔。」
「懺悔…………??」
「え……あ、ちょ、待って。」
「ま、待って。ま____________」
何が起こったのかはあえて言わない。一瞬見えたけど、すぐに視線を逸らしたから何も知らないわからない。
「憩さん、これでいい?」
「うん。これでいいよ。」
故ちゃんは顔を真っ赤にした天使を抱きかかえて憩さんと話している。
「ぁ…………ぁぁ…………。」
「天使さん。ご感想は?」
「………………ぼ、ボクから……やりたかった…………ぁ……。」
うん。その、可哀想な事になっている事だけはわかった。内容は…………まぁ、うん。本人が更に可哀想になるだけなので追及はやめておく。
「…………さぁ。」
「どうしたの、故ちゃん。」
故ちゃんは天使を抱きかかえたままだ。
「ダーリンが可愛い…………じゃないや。ダーリ……あ、違う違う。」
「その……髪型と服が合ってないよね。」
わ た く し の 心 に ク リ テ ィ カ ル ヒ ッ ト !
「…………え。」
涙が出るかと思った。泣きそうになった。
「…………ほ……本気…………?」
泣いてもいい気がした。この服はかなり気に入ってる服だから。
「うん。」
泣いていい?
「あのね、服の柄が虫なのはどうにかした方がいいよ。」
…………それは、そう。言いたいことは…………。
………………………………うん?
虫?
わたくしの服に虫は………………………………あっ。
着 る 服 間 違 え た !
「ごめん。普通に服間違えた。」
「…………着替えておいで。」
「…………っ、うんっ!」
わたくしは急いで塔の中の部屋を出た。
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