13夜話「夏祭り4日目に他校生徒によって許可なく行われた肝試しについて」

ー他校オカルト部視点ー

静まりかえった校庭を通り、学園の前へと着く。

「なぁ……どこから入る?」

「簡単なのは昇降口……でも、開いてんのかね。」

「この催事中だから開いてなさそう。でも行くか。」

現在時刻は夜の10時30分。まだ、学園の昇降口のドアが開いている時間だ。


ドアが開くか、取っ手を持って実際に開ける事で確認する。

「…………お、開いてる。」

「じゃあ入るかー。」

ドアを人が通れるくらいに開け、中へと入った。



「2日目くらいに入ったときから思ったんだけどさ、やっぱこの学園広いわ。広すぎる。」

「「わかる。」」

「広すぎてちょっと迷うわこれ。」


「で、どれから__」

ピロンッ

「あ、ごめんメール来た。」

「はよ確認しろ。あとなんでマナーモードにしてないんだよ。」

「ごめんごめん。」



「んん??」

「え、どした?」

「なんか知らん人からメール来た……。」

「えぇ?」

♡:Hello?

♡:What are you here for?

「うわマジじゃん。」

「俺英語わかんねぇよぉぉぉ……。」

♡:Sorry. I don't understand English either.

「相手も英語わかんないみたいでウケる。」

※この生徒は英語のテストの点数がとても高いです。

♡:で、何用?あとやっとスマホ返されたんだけど。

「怪異がスマホ奪われるって何?」

「この怪異はおバカさんなのかもしれない……。」

♡:君達の会話、ここに入ってくる前から全部聴こえてるからね〜?

「ヤバ。」

「えぇ???」

♡:で、何用なの?

「「「え、肝試し。」」」

♡:バカいたわ。じゃあね。


「「「は????」」」

スマホをポケットに戻したのを確認し、気を取り直す。

「なんだったんだ……。」

「台風みたいな勢いのメールだった…………。」



「で、どこ行く?」

「ん〜……一番はまぁ……無理だよな。」

「先生として生活してるなら……今頃家だろうしな。」

「ん〜……塔を最後に組んでるから……。」

「…………まだ1階だし、美術室があるだろうから三番目行くか。ついでで二番目。」

「まぁそうするしかないか……。」

「単独行動でも良いんだけどな。」

「いや、ホラーで単独行動は終わってるだろ。死だぞそんなの。」

「「確かに。」」

ー美術室前ー

「いるのかねぇ?」

「まぁ……居はするだろ。」

「…………これさ、破ったらどうなるんだろ。」

「…………破るって?何を?」

「いつもの。」

「あ〜……。」

「今までが大丈夫だったし、今回も大丈夫な筈_____ぅう!?」

美術室のドアに手をかけようとしたとき。赤くて四角いものが視界に入った。

「うわ……いつの間に…………。」

「近くにいたのかよ……。」



「いや〜……開けれね〜〜。」

「この封筒、破れたら多分怒るよなあ…………。え、どうしよう。」

「見るだけに留めるか。」

「まぁ……それが一番。」

ドアのガラスから美術室の中を見る。


美術室の中央のテーブルの上に、真っ黒な棺桶が置かれており、その近くで制服を着た少女が泣いている。

その棺桶の中を覗いてみたかったが、嫌がる事はあまりしないようにしているのでやめておいた。……今は出来ないし。



「いや……3つ潰れたな。」

「拍子抜けはしてないけど……堂々としすぎてるというか……。」

「ん〜……。」

「…………もう2階行っとく?」

「ん〜……徘徊でもしてない限りはここ1階にはいないか。じゃあ行こ。」

「うん。」

ー2階への階段の踊り場ー

「徘徊してそうなのって何番だろう。」

「二番目、六番目……はしてそう。という二番目はしてるだろうな。」

「まぁ赤い封筒落とさなきゃいけないし。留まってたらいろんなところに落とせないしね。」

「逆にしてなさそうなのは場所が書かれているやつかな。一番目、三番目……五番目と七番目もか。」

「わからないのは四番目……いや、あのメールが四番目なんだろうけどさ。」

「四番目は情報が無さすぎるんだよな。」

「…………?」

「…………■■?」

「…………どこ行った?」

「先に行く…………性格ではないな。それはありえん。」

「う〜ん……。じゃあ後ろ…………」

そう思い、後ろを振り返る。



階段の下の方で、頭から落ちたのか血を流しながら倒れている■■がいた。

「うぇ゙ぇ!?いつの間に!?」

「ちょ、1回下りるか。」

「下りよ下りよ。」

一度階段を下りた。



「息は……一応あるか。」

「でも……浅いぞ。」

「じゃあ、ここで■■見とくわ。2人で行ってきてくれ。」

「あぁ、わかった。」

2人で2階への階段を上ることにした。

ー2階教室棟ー

「大丈夫かな、あいつら。」

「まぁ……心配だけど大丈夫だって思うしかないだろ。」

「…………そうだな。」

「……あれ?」

「どうした?」

「なんか、なんか変な感じがする。」

「……?変な感じって?」

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

頭が弾けて、視界が赤くなった。

……そうなる少し前に、山吹色と橙色が見えていた気がした。



ー七番目視点ー

「う〜ん……弱い!」

「なんで壁の中の奴等はすぐに死ぬんだ。こんなのじゃまともに生きられないだろ。」

(で、コイツ等の死体はどうするかな。…………ま、放置でも怒られないけど。)





(放置でいいか。ボク達が触る意味はないし。)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る