10.5話「夏祭り2日目(三番目の兄視点)」
いつも通りの学園内の美術室で、兄妹の妹の方が木製の長机の上でゴロゴロとしながら
そして、兄の方はそんな妹を見ながら同じ長机の上に座っていた……。
「お兄ちゃん。私もあの2人みたいに夏祭り行きたい!!」
「ん〜……。」
※このように、彼は夏祭りの数日前から何故か渋ってます(理由は不明)
「なんでダメなの?理由は?!」
「特にない……けど。」
「賑わってるみたいだし…………まだあの人達みたいに人の姿に成りきれる訳でもないし………………。」
「それはそうだけど…………。霊体で見て回るだけでもいいでしょ?」
「…………何もせずに?」
「何もせずに!!!」
(それって行く意味…………ってツッコむのは
「私は!!夏祭りを楽しみたいんじゃなくて!!!会話を聴きたいの!!!!」
「えぇ…………??????」
(も……目的が謎すぎる……。)
(ってツッコむと機嫌を悪くするに違いない…………。)
あぁ、そういえば。こういう催事で来る他の学校(学園)の生徒がたまにこの学園に何かを捨てていくときがある。
そういうのを探すのはアリかもしれない。
「ま、あ……ちょっとだけなら……。」
「なんか嫌そうに言うね?」
「…………いや、ついでに確認したい事が出来たから……。」
「つい……?…………あ〜!!」
「学園内に変なものが棄てられてるかもしれないから……。」
「じゃあ先にそっち行こ!」
「……うん。」
ー1階教室棟ー
教室のドアをすり抜けながら1つ1つ丁寧に見ていく。
「去年は◯Vがあったよね!」
「ん゙ッ。」
「あ、お兄ちゃん顔あか〜い!やっぱり
抱き寄せられ、そのまま頭を撫でられる。
「…………。」
「ま、お兄ちゃんは私じゃないと興奮できない身体にされちゃってるもんね〜?」
「………………うるさい。」
生前に色々あったのを憶えている。……妹が積極的すぎて次第に流されるようになって…………恋人になって………………。
僕は家族のままで、兄妹のままで、仲の良い……でも近すぎない関係のままでいたかった。
僕よりも良い人はいる筈なのに、どうして選ばれたんだろう。
「ん〜、ここにも無いね!」
「無い方が良いんだけどね?」
「それが一番だけど、でもそれはつまらないよ!」
(えぇ…………。)
そういえば、心中するときに何かをした筈なんだけど。………………何をしたんだっけ。
ー2階教室棟ー
「あ、誰かいる!」
「ん?どこ……?」
「だいぶ奥!」
「よく見えるね……。」
「お兄ちゃん、若干目が悪いもんね……。」
「…………本当に見えないんだけど。」
「じゃあ近づこ〜〜〜!!!」
「え、ちょっ」
僕は妹に腕を掴まれ、思いっきり進まされる。
「あ、やっと見え……近い近い近い!!!」
「お兄ちゃんうるさ〜い。」
「…………。」
「ふふっふふ……。」
「うるさいって言ったら本当に黙っちゃった。」
「お兄ちゃん〜?」
「……。」
「…………まぁいいや!」
「そういえばさ、」
「ん?何?」
「この学園ってあるらしいぜ。」
「……何が?」
「七不思議。」
「へぇ。」
「……え、反応ショボくね?七不思議だぞ七不思議。俺達からしたらロマンだろ!」
(この人達、多分オカルト部なのかな。)
(内容的にそうっぽいね。)
「夜にオカルト部で忍び込んでさ〜……」
((あ、終わったかな。))
「いや……そういうのは良くないだろ。自分のとこの学校ならまだしも、ここ他校だが?」
「いやでもさ〜……見たいだろ〜?」
「………………見たいっちゃ見たいけどさ……。」
(死んだかもね。)
(死ぬかな。)
「んーー、まぁ……じゃあ行くか。」
「お、いいの?」
「いいよもう……。」
((あ、折れた。))
ー3階教室棟ー
「や〜、すごいの聞こえたね〜。」
「ね〜。」
「でも何も捨てられて無いね。」
「ね。」
「…………ねぇ。お兄ちゃん。」
前を歩いていた妹の足が止まる。
「ん?何?」
「…………その……。」
「???」
「…………なんでもない。」
「そっか。」
「「…………。」」
「ん……。」
「どうしたの?お兄ちゃん。」
「…………あぁ、いや、神が動き始めた気がしただけ。」
「…………割と大事じゃないかなそれ。」
「そっか。でも、僕達は戦えないから。」
「まぁ……そうだね。」
「神とかはあの4人に任せたらいいよ。」
(…………三番目までは何もできないから。)
「うん。」
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