2章『異点』

10話「半端者には死で救済を」

それは、夏祭りの2日目に起こった。

屋上から一緒に花火を観ていた最中に起こってしまった。


隣にいた四番目が昨日と同じ反応をしていたと思ったら、途中で彼女の声を聴き取れなくなっている事に気付いた。

おそるおそる彼女の方を向けば、頭の方から少しずつ消えていく姿があった

「■■■■■」

「■■■■■■■■■■■■■■■■」

「■■■■■■■■■■■■■」

何を言っているのかは解らない、けど。今までの奴等とは違ってかなり落ち着いているという事は理解わかる。

「■■■■■■」




それから、のんびりとした足取りで六番目がやって来た。

そして四番目を見ると、のんびりと話し始めた。

「ん……あぁ。やっぱりなっちゃったねぇ。」

「え、知ってたの?」

「占いでね〜。」

「まぁでも……わかってはいたよね。彼女だけ噂が無かったから。」

「まぁ…………解ってはいたよ。でも」

「…………彼女ね、自己紹介のときに教えてもらったんだけど、半分生きてる状態で七不思議やってたみたい。」

「……生霊だったって事?」

「そういう事。」


「…………で、ワタシはまぁまぁのタイミングを知っててのんびりとここまで来たんだけど。」

「……。」

「それでここからが本題なんだけど。」



「_____________彼女の事、かなり気に入ってたでしょ。」


「え……」

「あ、やっぱり気に入ってたんだ。」

「…………まぁ、うん。あんなに愛を伝えてくれるところは可愛いし……太腿…………ん゙ん゙ッ。」

今、自我出たでしょ。と六番目が笑った。彼女四番目の太腿は寝心地が良くて好きだから仕方ないと思う。


……彼女の愛の重さは見ていて少し怖い、けど。でも動きが可愛いので緩和されている。

正直に言うとすれば、彼女の事は結構好きだ。可愛いから。

「……なら、惜しいでしょ。」

「惜しい、って何が…………?」

「気に入ってた存在を失うんだよ?普通は嫌じゃない?」

「七番目は楽園産まれの本物の天使だから失う、という事が余計に嫌でしょ?」

「ちょ、ボクの事どこまで知ってんの!?」

これ四番目の消滅を占いで見たら楽園側に誘われちゃって、そこで主に全部教えられたんだよねぇ。」

「は?何してんだあの人は。」

「あと、七番目はから〜……って言ってた。」

「だからちょっとそそのかして来て!職務放棄(?)してるから!!…………とも言われたよ〜〜。」

あの人はほんっっっっとうに………………!」



「………………で、どうするの?彼女。」

と、言われたので彼女の方を見る。


 

「……。」

もう、上半身は全て消えてしまったらしかった。

「まだ助けられる救えるけど〜〜…………。」

「……え、出来るの。」

「執着という役割を与えられてるのに、逆に何もしないんだ?」

「………………ほら、助け救いたいなら彼女の方を向いて。」

「それで天使としての力を使って。」


彼女の方を向く。

「……………………。」

(確かに助け救いたい…………けど。出来る気がしないな。)

「……それか、ワタシがやってもいいよ。」

「?」

「………………ワタシがやると、色々と歪んじゃうけど。」

「…………ボクには出来そうな気がしない、から……。」


「わかった。ワタシがやるから……そのままで。」

もうじき、完全にこの世から消えてしまうであろう彼女をボクは見つめたまま…………世界の時が流れていく。




突然やって来た全身への痛み。その正体を知りたくてを動かす。



……………………斜め右。視界にギリギリ収まるところ。

そこには、首と四肢に鎖が巻き付いている六番目憩さんがいた。

そして、痛みの正体は六番目憩さんに巻き付いている鎖がボクと彼女を縛っているかららしかった。

「………………………………。」

「_____『血族』。」

視界が赤で染まる。

そしてジャラジャラと鉄の音がして







_____________2人、紅く弾けた。

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