【未だ生きる始祖の話】
ある日、ワタシは家を抜け出した。
目指すは壁の外。とにかく遠くへと行かなければならなかった。
壁の外に出る事ができれば、ワタシは自由になれる。その筈。
壁の外へ出た。誰の制止もなくすぐに出られた。
それから、壁の外で数日を過ごした。
食事は木に成っている果実、もしくは土の上に落ちていた木の実の破片を食べた。
服は川はあったけれど洗えば外で裸体を晒す事になるので辞めておいた。全く同じ理由で身体も洗えなかった。
そんな生活を続けていた日が続いて、そろそろ野垂れ死ぬんじゃないかと覚悟していた頃。
ワタシは気付けば舟の上に座っていた。
何が起こったのかもわからず、ただ攫われていく事だけが分かって涙が溢れてしまった。
そんなワタシの頭を、舟守が手で優しく撫でた。
水が透き通った色に変わり、目の前に見えた明るい場所を見て、今のワタシがこんな場所に来て良いのかと躊躇って入るのを拒んだ。………………のを、中にいた天使が腕を伸ばしてきて無理矢理中に入れられた。
その後はあまりにも汚いであろうワタシを見た天使達によってあれよあれよと風呂に入れられて綺麗な服に着替えさせられた。
楽園の主はこの時にワタシに惚れたそうです。
それから数年間。ワタシは楽園の図書館にある本を大量に読み知識を蓄えさせられ、しっかりと栄養を摂らされ、やけに綺麗な服を着せられて育てられました。
そして、私は楽園の外に返されたのです。
そして、ワタシは壁の中で数年間の間占い師として働いていましたが、そこで少し困った目に遭いました。
ワタシは…………その、同性にも異性にも異常なくらいに好かれやすいそうで、身体を触られかけたり、逆恨みで殺されかけたり、ストーカーされたり…………と。
それが続いて生きる事が億劫になったんです。
それで…………また楽園に頼りました。
楽園に戻ってきて、楽園の主に抱きしめられて……………………………………。
あ。
あれから数日が経って、ワタシは地下牢に閉じ込められ、躾を受けました。
内容は忘れましたけど……。
痛くはありませんでしたねぇ。確か気持ちよかったと思うんですけど……。
なんか、駄目ですね。
この話をしようとすると、ワタシが途切れるような感覚にな
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