【東洋の吸血鬼の話】
昔々。まだ能力者と一般人との境目が緩かったときの話。
とある人間の貴族の娘が部屋の中から空を見ていた。
(お父様もお母様も。屋敷の中の体裁だけ整えてどっか行きやがったな。)
(全く…………それで屋敷の主が務まるのかねぇ……。)
この部屋の中を言葉にするなら簡素。木製の家具が置かれているだけとなっている。
(久々に外に出てもいいな。…………あぁでも、今日はダメだな。)
(出るなら今度にしないと。)
今度にしよう。そう思っていくつもの月日が経ったのか。
(考える気も失せるな。全く。)
駄目な親は子をマトモにする薬のようだと、1つ。思いっきり嗤ってやった。
その後の人生を言葉にするなら、転落だった。
お父様は暴君となった。
そんなお父様は暗殺された。
そんなお父様を見て、お母様は逃げた。
そんな親を見た私がそうはならないよう、従者全員で育てきってくれた。
そのおかげか、私はそんな親の娘ではあったけれど。それでも人々は普通に接してくれた。
そんな私は、面白そうな嗜好品を一つ見つけた。
吸血鬼の生き血。そんな物を見たのも知ったのも触ったのも、これが最初で最後だった。
それに興味を持った私は、ちゃんと金を払って買った。
そして、屋敷の自室に戻った後。私はそれが入った小瓶を開け、一気に飲み干した。
昔…………とは言えども約数年前。
それを七不思議達が知ったのは、放棄されていた塔に灯りが点いていたから……だったと思う。
その怪異が何かしでかすんじゃないかと思ってかわりばんこで見ていたけど、何も起こさなかったんだ。
それで、どんな怪異が来ているのかを知る為に、塔に六番目を乗り込ませた。
蜘蛛の巣に行く手を阻まれながら、上へと伸びる螺旋階段を一歩ずつ登っていく。
(内装は変えてないんだ……ホコリと蜘蛛の巣まみれなのに…………。)
(ここの蜘蛛の巣が邪魔だなぁ。)
しゃがみ、這いずり、退け。
階段が落ちているところは思いっきり飛び越える。
(…………もうちょっとで最上階かな。)
最上階に着いたらしく、階段は見当たらない。
たった1つしかない部屋のドアを開けた。
まず、視界に入ったのは豪華というよりかは一般的な家を思わせる装飾。
(…………。)
次に、棺桶。どうやら、怪異の正体は死体か吸血鬼らしかった。
(…………どうするべきかな。)
今はおやすみ中かもしれない。だからそそくさと出るこ_____
「何用か。客人。」
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