9話「夏祭り1日目」
この学園の夏祭り……というか催事にはここの学園以外にも他の学園(学校)の人達も普通に参加する。
その為、先生や生徒。そしてその保護者達でごった返す。
まぁ、要は、アレだ。…………《とんでもない悪口なので規制》。
屋台を用意したり、飾り付けをするのは先生と生徒の仕事。そして当日に屋台を回すのには専用の
「わぁ。いろんな屋台があるね。」
「うん、確かに色々あるね。」
「……生徒としてどこかの屋台に並んじゃう?」
「ん~~……それなら、あっちの……」
「……。」
覚えのある気配を感じたので後ろをゆ〜っくりと振り返る。
「「あれ、憩さん!?」」
彼女も気になって一緒に振り返ったらしかった、のでボクと全く同じ反応をしてしまう。
「いたの……?」
「いたんだね……。」
「2人がデートしてるみたいで可愛いなぁ、って思って見てただけだから気にしないでねぇ〜。」
「「は????」」
「デートなんて……してないけど。」
「デート……?してないよ。」
憩さんが変な事を言った。……ボクはデートのつもりはなかったんだけど、そんなにくっついてたかな。
「…………。」
「うぅ〜ん………………。やっぱりデートしてるようにしか見えないなこれ…………。」
憩さんのそんな小声が聴こえて来てしまった。
「え、なんで?」
「聞こえてた?」
「「うん。」」
「…………ごめんねぇ。」
2人揃って頭を撫でられた。…………指がちょっとごつごつしてるみたいで若干痛い。
「痛い……。」
「うん、痛いかも……。」
「あ、それはごめん。」
「あ、あれ行きたい!」
「どれ?」
「金魚掬い。」
「じゃあ行こう。……憩さんは」
のんびり歩きながら屋台の看板を見ていたから気付かなかったけれど、いつの間にか憩さんは居なくなっていた。
「あれ?」
「……まぁまぁ。今はいいじゃん。」
「……確かに。」
ー金魚掬いー
「大きいのも小さいのもいる…………。」
「持ち帰れるのは二匹までらしいよ。」
「へぇ…………」
「え、その、私達、袋持てる……?」
「え、あ……も、持てるかな…………????」
(……って、どこで困ってるんだボク達は!!!)
「とりあえず……掬えばいいよね?」
「うん。」
お金を払い、ポイと入れ皿を2つずつ貰う。
「……。」
「…………。」
彼女にポイと入れ皿を1つずつ渡す。
「ありがと。」
ボクか彼女のどちらかが掬えればいいので、若干集中しなくていい。
それは彼女も全く同じ事を考えているらしく、何も考えずに水槽にポイを入れたらしかった。
(…………静かだなぁ。)
「……。」
「……。」
結果として、ボクは一匹、彼女は四匹掬った。
ボクの袋には自分で掬った金魚と彼女が掬った金魚のうちの一匹が入れられた。
彼女の袋には自分で掬った二匹が入れられ一匹が水槽に戻された。
金魚掬いの屋台から離れ、人気の無いところへと歩いていく。
「……あ、も、持てた……!」
「持てたね……!」
お互いに袋を持てただけで喜ぶ。
「「あ、死んだ。」」
金魚の短い
「どうする?これ。」
「…………後で理科室に行って標本にしようかな。」
「……私の分もやっていいよ。」
「あ、じゃあそっちは実験に使うね。」
「は?最低すぎ。生物の
「だって……金魚の体のつくりって気にならない?ちっぽけな体なのに臓器とかあるんでしょ?解剖とか色々してみたいなぁ。」
「ちょ、もう、本当に最低ッ…………!」
「……でも〜?」
「…………好きだけど……!!好きだけどね…………!?!?」
物影を見つけ、座れる事も確認できた。
金魚の死体が入った袋を近くに置いて、その場に腰掛ける。
「涼しいね、ここ。」
「うん……涼しい。」
彼女がこちらにもたれてきた。
「あ…………えっと。その……。」
「ん……お肌が冷たくて気持ちいい…………。」
「ふふ。もうちょっとだけこのままいてあげる。」
ボクは優しいからね。
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