11話「歪まされた関係性」

瞼をゆっくりと開く。

隣には、変わらない姿の四番目が幸せそうに眠っているのが見えて、つい抱き寄せてしまった。

少しして、身体を起こし布団から出た。



近くにいた六番目憩さんに話を聞くと、今日は夏祭りの4日目らしい。

「……昨日は寝てたって事?」

「うん。ぐ〜〜〜……っすりと2人で仲睦なかむつまじく寝てたよ。」

「…………その、今って。」

「うん。2人は血族兄弟になってるよ〜。」

「…………ふ〜ん…………え、兄弟?兄妹じゃなくて?」

「性別はそのままだけど、関係としては兄弟。…………先に言ったでしょ。ワタシがやるとって。」

「…………。」

「…………!?!?」

「関係が歪む、って事だったのアレ!?」

「容姿もちょっと歪むよ。」

「え……。」

「ぐ、ぐにゃ……って?」

「あ、歪むってそっちじゃないよ?異形とかそっち系の話ね?」

「あぁ〜〜…………ならいいや。安心した。」

「そういうのってなんかかっこいいからなぁ。」

「わかる〜。なぁ〜んかかっこいいんだよねぇ。」


「ん……。」

「あ、ごめん。起こした?」

「んん……?」

「おにーちゃ…………?」

(…………くそ……可愛い。)

「……?」

「あれ、なんか記憶捻じ曲げてる?」

「そこもね、なんか歪むんだよね〜。」

「……?」

「あ……お兄様……。私、その……。」

「お、おいで……?」

(ごめん名前なんていうの。)

(故ちゃん。)

(オーケーオーケー。)

「故。おいで。」

「ん……お兄様ぁ…………♡」

両腕を広げてみたら思いっきり抱きつかれた。骨が若干ミシミシと鳴っている気がするのは気の所為だと思いたい。

「…………お兄様とダーリン、どっちがいいんだろ……。」

どっちでもいいよ、とは言わなかった。

「ん〜〜〜〜〜…………偶にダーリンって呼ぼ。」

勝手に決まったらしい。

「で、これってどういう状況なの?私って消滅してないの?」

それは憩さんに説明させた。

ボクの説明は難解になる気がしたから彼に説明させてみた。

「はへぇ……????そうなんだ……????」

「……え、え?」

今更すぎる反応を見ることができた。

「えっと……つまり、天使さんは兄になって……?」

「私は女だけど弟で……?頭狂うなこれ。」

「わかる。ボクもちょっと脳が狂いかけた。」

「あ、お兄様の名前何?前は聞き取れなかったんだけど。」

「…………それは……もうちょっと後でね……。」

「ふ〜ん……まぁ…………事情があるんだね。」

「うん。」

「じゃあ模索しな〜い。」


「あ、そうそう。」

「何。」

「ワタシ、君の主に色々と命令貰ってるんだけど。」

「憩さんのご主人って天使像じゃなかったっけ。」

「元ご主人様、なんかルール違反で消滅させられてたよ。」

「えぇ…………。」

(一体何してるんだあの人!そして何やらかしたんだあの人天使像!?!?!?!?!?)



「で、どんな命令貰ったの。」

「ショボいの〜。」

「いや教えろよ。」

「ショボいのに混じって君達2人の護衛〜。」

「「…………????????」」

この人に護衛は色々とマズいのでは????何してるんだあの人は。

「ごえ、護衛?」

「そう。護衛。…………いや、色々とマズいけどねぇ?大丈夫なのかなこれ……。」

「そ……そうだね。憩さんの立場的に護衛はマズい。」

「え、どういう事?」

彼女ボクの可愛い弟は話についていけていないのか、ボクと憩さんの会話を聞きつつ終始あわあわとしていた。

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