6話「七不思議達の休日.1」

今日から学園内で行われる夏祭りの準備期間…………だから邪魔をしないようにする為に、今は学園の離れにある塔の中にいる。



「いやぁ……ヒマ。」

「確かに暇だね〜。」

「……ゲームとかないの?」

四番目はボクの膝の上でそう言った。

「無いでしょ。掃除されてないし。」

「そっか〜…………。じゃあ本当にヒマになるんだね。」




「見てこれ。」

「ん?なんだ?」

「両手に花。」

ボクの右腕で抱えられているのは四番目、左腕で抱えられているのは六番目だ。

「こういうのはちょっと……恥ずかしいかなぁ〜……。」

「…………♡」

2人共、揃って頬を赤く染めている。

「ん~~……。」

「…………え、ダメ?」

「いや……お前の容姿的には違うというか……。」

「じゃあそっちでやってみてよ。」

「四番目が真ん中で左右が六番目と七番目。」

「えぇ……なんで……?」

「2人の髪が長いから。」

「確かに私の髪型はショートだけど……それだと男2人に抱きつく女、っていうなんかダメそうな絵図が生まれるんだけど……?」

「まぁまぁ。」

「まぁまぁ。」

「まぁまぁまぁ。」

「なんで3人揃って同じ反応してるの!?」




「ん゙…………。」

「どうしたの。」

「眠い…………眠いんだ。」

「寝る?寝るなら膝枕するけど……。」

「んん……。」

「…………じゃあ寝るかぁ……。」

彼女の太腿の弾力(?)を後頭部で感じつつ目を閉じ、ゆったりと眠りについた。



「あれ、寝ちゃった?」

「うん。ダーリン寝ちゃった……。」

「そろそろお昼の時間だから何か作ろうとしてたんだけど……。あ、何か食べたいものある〜?」

「ん~~…………。」

「じゃあ、スパゲッティとか……。」

「わかった〜。じゃあ作ってくる〜。」

「ん、はぁい。」




「…………あれ。七番さん寝てる。」

「本当だ。寝てるね。」

「……ん、ふふ。」

「四番さんは自分の世界に入ってる。」

「……微笑ましいね。」

「うん。微笑ましいね。」

「へへ……。」

「…………。」

「…………。」

「お兄ちゃん、四番さんがキモくなった。」

「うん。そうみたいだね。」

「聞こえてるよ〜。」

「「あ」」




「お昼ごはんできたよ〜。食べなきゃいけない人はおいで〜。」

「は〜い。」

「ごはん何かな。」

「なんだろうね。」


「わ、スパゲッティだ。」

「わ、出来立てだ。」

(双子の兄妹だからか反応が似てるなぁ。)

「美味しそう……。」

「温かいうちに食べてね〜。」

「「「は〜い。」」」



「……あのさぁ」

「「あのさぁ」で始まる会話は何かをやらかしたときくらいだと思ってたなぁ。」

「…………さぁ。」

「省略された。」

「されたね。」

「番目で呼び合うのってなんか面倒じゃない?」

「「確かに……。」」

「そういえば、なんで名前で呼びあってないんだろう……。」

「「「「…………。」」」」


「よし、自己紹介をしよう。」

「じゃあ言い出しっぺからお願い。」

「…………名前と人間だった頃と出身言えばいい?」

「それでいいですよ。」



「私は七不思議の四番目叶わる恋愛行動だよ。本名は小匣こばこ ゆえ。人間だった頃は……まぁ、学生してたかな。出身は壁の中で南側の3番都市。」

「はい次。」

「じゃあ、次は僕達にしよう。」

「私達は七不思議の三番目葬式のまねごとだよ。」

「そうそう。」

「本名は明星あけぼし みち。お兄ちゃんは明星 風月ふうげつね。人間だった頃は同じ学校で……うん、恋人かな。出身は壁の中で8番街。」

「合ってる合ってる。」

「じゃあ〆をお願いします。」

「……ワタシは七不思議の六番目見るな見るなの顔〜。本名は……まぁ、いこいとでも?人間だった頃は……幼少期に家を追い出されて壁の外に捨てられたんだよねぇ。だから出身は壁の中だけど育ちは壁の外だよ。」

「「「「…………。」」」」

「……なんか、もう流れで聞いちゃうけどさ、皆の死因はなんだった?」

「私は一応死んでるけど死んでない……って感じだけど。」

「……生霊?」

「ん~~……まぁ!そんな感じかな。」

「ワタシはカーニバルに巻き込まれてそこで圧死されましたぁ〜。」

「「カーニバル?」」

「簡単に言えば即死する可能性がある遊園地〜。」

「……なんか理解しました。」

「あ、僕達は無理心中です。」

「うんうん。」

「まぁ……関係が恋人だった時点でそんな予感はしてたよね。」

「してたねぇ。」

((((あ〜……雑談って平和だなぁ…………。))))

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