2話「理科室の天使さん.1」
空を眺めて、太陽の眩しさに少しムカついたので目を閉じていたら夜になっていた。
ベンチに寝かせていた身体を起こし、一度服を整える。
こういう時、誤魔化す為のちょっとした動作は意外と許される事がある。
(まぁ…………見られてたら怒られるけど。)
怒られてもまぁ構わない。だってここで一番強いのはボクだから。
この学園の七不思議に振られている数字は、大体個人の強さ、あとは諸事情である事が多い。
この場合、一が強いのではなく七が強いのだという事だけは覚えておいてほしい。
屋上から理科室へと歩いていると、見覚えのある服装の人物が見えた。
(…………うげ……。)
「…………あ!」
(やべっ……逃げよ。)
「あ〜〜……行っちゃった…………。」
今のは七不思議の四番目。彼女がどう呼ばれているのかは知らないけど、とても現代っぽい七不思議だという事だけ覚えている。…………ボクは彼女の事を一般通過ヤンデレ女と、バレない程度に呼んでいたりする。
(美少女なのに勿体ない…………って、また同じ事思ったな……?)
あれから、何事も無く理科室に着いた。そして、ドアを開けて気付いた。
(い…………いる………………!)
先回りされていたらしく、彼女は机の上に座っていた。
(あ゙あ゙あ゙あ゙…………。)
「あ……!」
彼女の虚ろな瞳がボクを捉えて夢中にさせる。
「…………来ないの?」
「あ、いや…………その…………そのぉ……。」
「来るでしょ?」
「まぁ…………うん…………はい……行きます…………。」
ドアを開けて理科室へと入る。
「鍵閉めてよ…………。………………ね?」
「はいはい……。」
嫌々ドアに鍵を掛ける………………ような音を作る。
(はぁ……上手くいってるといいけど。)
「来て。」
「…………はいはい。」
彼女に呼ばれ、そちらに向かう。
そして、視界がズレた。
「膝枕してみた〜……んだけど。どう?」
「あ゙~~っ、と……ん…………まぁ良い感じ…………?」
正直に言おう。意外と良い。まぁ、男であるボクとしては、彼女の胸が薄っぺらいどころか無い気がする事だけが救いか。
(でも、太腿は結構あるんだよなぁ…………。)
弾力(?)というか肉厚(??)が。本当に結構ある。太い。
「はぁ…………。」
「お疲れなの?」
「まぁなぁ…………。」
「…………最近どうなの?浮気してない?」
「…………お前じゃないから恋愛には興味無い。」
「は〜〜????キレそう。頭撫でようと思ってたけどなんかぶん殴りそう。」
「やめろ……落ち着け……落ち着け…………。」
「いや、これお前のせいだよ????」
頭を撫でる手の平が意外と心地良くて、つい目を閉じてしまう。
「ん゙〜〜…………。」
「髪さらさら〜。」
「おい、まて。まて、ヘイローを掴むな。」
「…………待ってなんで私、お前のヘイロー掴めてるの????」
「…………もしかして、天使さんは天使じゃ……無い……!?」
「まて。思考が飛躍してる。落ち着け落ち着け。」
「いやでも……。」
「…………。」
「…………。」
「まぁ…………天使ではある。天使ではあるんだよな。」
「へぇ…………?????」
お互いによく分からなくなってきてしまった。ので、彼女の膝枕を堪能しつつ、今日はもう寝る事にした。
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