3話「火曜日.1」

(ん゙…………。)

ふぁ……と欠伸が出た。

理科室の机の上で眠っていたらしい。


目が冴えてきた頃、やっと時計を見る。

(あ…………寝坊した…………。)

このまま自分のクラスに行って姿を現してもいい。記憶の改竄かいざんくらいならいつでも出来る。

(ん~~…………。)

悩む。このまま行って授業を受けてもどうせヒマになるだけ。

(今日はサボろうかな……。)

とりあえず今日はサボる事にした。





(サボると逆にヒマなんだよなぁ…………。)

廊下を歩いていると、チャイムが鳴り響く。

(……ん?)

(…………あぁ、休み時間か。)

休み時間は廊下と教室が少しだけ騒がしくなる。


「なんかさ、今のここの七不思議。昔と違うらしい。」

「違うって、何が?」

「振られた番号も名前も全部違うらしい。俺の父さんが言ってた。」

「へー。」

「あぁ、でもなんか使だけは番号以外変わってないらしい。」

「そうなんだ。」

「…………でさ、今度クラスの催し物があるじゃん?」

「……肝試しでもしようとしてる?」

「うん。」

「学園側の許可が無いと無理じゃない?」

「んー…………確かに。」

(肝試し…………肝試しかぁ…………。)

(ボクとかあの兄妹葬式のまねごととかは別に良いんだけど…………二番目辺りがちょっと……。)

「じゃあ、とりあえず先生に話してみるわ。それで考える。」


廊下を歩く。

(肝試し…………肝試しかぁ……。)

(昔、肝試しをしていた生徒が階段から落ちてそのまま死んじゃったから難しいだろうなぁ……。)

(あの時は13階段とかが現役だったっけ…………。)




「あ、あそこにいるの…………!」

「日本人形だ!」

「ホントに動いてる……。」

「…………触ってみてもいいかな?」

「うーん……。ちょっとだけなら怒らないと思うけど……。」

「ちょ、ちょっとだけちょっとだけ…………。」

生徒の1人が日本人形に手を伸ばした…………と同時に頭に何かが落ちてきた。

「わ゙ーーッ!!なになになになにーー!?」

「と、とりあえず逃げろーーーッ!」

階段を急いで下りようとしたせいか、生徒の1人が足を踏み外して落っこちた。

「え、ぇ゙?」

「…………■■……ちゃん……?」




(懐かしいな………………。)

(ボクはその様を後ろから見てたんだっけ………………。)



思い出を懐かしんでいると、白衣のポケットから愉快な音が聴こえた。

(あ、スマホか。)

ポケットからスマホを取り出す。

(え〜っと…………メールかな。)

(誰から…………ぁ゙っ…………。)



♡:もしもし、ダーリン♡お電話しない?


(いつの間に…………?…………今は断わるか。)

理科室:嫌。

♡:は?何?なんて?

理科室:だから、嫌だって言ってるの。電話の気分じゃない。

♡:??????

♡:私の事好きだよね?愛してるもんね?


これ以上はやり取りが長引きそうなので、スマホの電源を落とした。

スマホをポケットにしまい、近くの階段を上がる。





(1年生の教室…………だから、ここは3階か。)

「俺も外に出たい!」

「校庭に出られるけど?」

「違う違う!学園の外!」

「やめとけやめとけ。今の世間にんだ。」

「そうだけどさぁ…………!」

(確かに外に出たいよね…………気持ちが分かるなぁ。)

「その代わり、みたいな感じでありとあらゆる施設が揃ってるんだからそれで我慢しとけって。」

「ゔーん……。」

「外の事は卒業する時に絶対に考えるんだからさ。」

「まぁ……それもそっか。」

(ここの生徒達は卒業する前にちょっとした決断を迫られる事になる。自殺断つ就職する等切るか。その2択。)

(………………ボクには関係ないけど。でも、この決断を見届けるのは今でも好きだからなぁ。)

廊下を歩く。

「今年も無いのかな…………。」

(ん???……修学旅行か校外学習の話かな。)

「無いと思います。」

「だよねー…………。」

「1回この人数で行ってみたかったんだけど…………。」

「気持ちは分かります。私もそれを見てみたいですから。」

(分かる…………なぁ……。数日だけボクが寂しくなっちゃうけど。)




そんな世間話を耳に入れながら廊下を歩いていた。

目の前に見えた階段を上がる。







屋上に着いた。

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