4.司書の仕事

 村長が去ってから数分後に、私は昼ご飯を食べ終わった。図書館に戻り扇風機を点けて読書をしていると、あの少年がまた来た。私は軽い会釈をして、読書を続けた。少年も、椅子に座って読書をしている。本のページを捲る音だけが、図書館に響いている。

 私が数ページ見終わった頃に、少年が先日のように尋ねてきた。私はその日は少年につきっきりで、少年が読んでいる小説について教えた。言葉の意味だけでなく、細部にわたるまで教えた。

 私と少年が小説を一冊読み終える頃には日が暮れていた。

 私が少年を見送った後に、司書としての仕事に戻った。その日は企画の考案が仕事だった。来てくださる方に興味を持っていただけるように工夫するのは大変だ。と、言ってもあの少年しか来ないが。まあ、しないよりはマシだろう。

 今回は何にしようかと企画案に目を通すと、『季節に合った飾り付け』と、書いてあるのを目にした。最近やっていなかったなと思い、私は百貨店に向かった。そこで色紙やカラーペンを経費で落とせる範囲内で買い、図書館へ帰った。

 その日は買うだけ買って、後日することにした。

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