重たそうな春

亀田巧

重たそうな春

うごめくの虫らが持って行く春のなんとも重たそうな平たさ


ひつという字にある皿にのせられたちいさな必をひっちゃんと呼ぶ


ひっちゃんは心に何か刺さってて天使の矢ならいいんですけど


ヨでもなく山でもなくてEなどとねじけて刻み込んでいる虐


一瞬で燃えちゃいそうでかわいそうだから〈螢〉を〈蛍〉と崩した


右上にぎゅうっとされて梁の字の刀は汗をかく 困惑の


れいの上部分みたいな目つきして戸別訪問あしらっている


ろくの上部分みたいに目をつむる 顔にくまんばちが飛んできて


テンプって呼べば同時に振り返る貼付ちょうふに眉をひそめる添付


「恋愛の、恋です」という説明を先方にする戀塚こいづか課長

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

重たそうな春 亀田巧 @suki_nandakara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画