実際にやってみた

一個前に掲載した誘導する文章は、2度投稿されたが誰にも見られず削除されたものだ。

あの文章は、手順通りに誘導した後、最終的に嫌な物に抱く感情は何かと尋ねているもの。

愛情や憎悪などの感情と呪いを誕生させることを目的とした文章であった。



この文章は、誰にも見られていないので、実際にやってみた。


嫌な物に、何年も大切にしてきた熊のぬいぐるみを選んだ。

大切にしているものを、嫌な物として扱うとどうなるか気になるからだ。

閉じ込めることできるものは、ただの木箱にした。


ぬいぐるみを木箱に入れ、毎日ボロクソに暴言を言う。

流石にかわいそうだと感じ、半年でやめた。


取り出さずに放置する。



木箱の存在を思い出したのは、1年後だった。


1年ぶりにぬいぐるみを取り出す。

「久しぶり。1年前は毎日暴言を吐いてしまってごめんね。また大切にするからね」

と声をかける。


最初は、枕元に置いていたが、家の中でも外出先でも持っていくようにした。

これを何年も続けて、常に一緒に過ごして抱いたものは―――――


愛情という呪いだった。


これが、この誘導文章の完成なのだろうか。


人間側は愛情が生まれたとしても、人形側は憎しみで溢れているかもしれないから、完成とは言えないのかもしれない。


ぬいぐるみに変化があったかどうか言うと、無かった。

強いて言うなら、色が茶色からグレーに変化していたことくらい。

多分、1年木箱に放置していたからかな。



一緒に過ごしていたら、最終的に憎悪より愛情が生まれるだけなので、試しにやってみてほしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

誰かによる誘導 辻 褄 @tuji_tuma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ