一度目の人生、クソ人間として立ち回った俺にいい出会いなど訪れるわけがない。
@nezumisennpai
「始まりの物語」
プロローグ 「始まりは混乱から」
―一体ここはどこなんだ?
この世界は、きっと前の世界とは違う。手を伸ばすとはっきりと分かる。自身の手は小さくなっている、と。先程までに起きた出来事を思い返す。
「確か俺は…あのフード男に殺られて…」
先程、俺は確かに殺された。フードを被りナイフを持った男に、まずは後ろから一度刺され、その次に二、三度腹部を刺された。そうなったのは偶然じゃない。男は無差別殺人鬼でもなんでもない。ただ、俺という一人の人間に人生を狂わされた内の一人と言うだけだ。
痛みは感じた。ナイフで刺されることの痛み、熱さを感じた。だが、目を一度閉じ、再度開くと痛みは消え、現在に至る。
俺は別に、自身の過ちに後悔はしていない。俺の行った行為の数々、その中には『詐欺・暴行・恐喝』など様々だ。
俺の行ってきた犯罪まがいな行いも全部が全部、俺のせいでは無いからだ。せめて環境さえ変わっていればきっと、少しはマシな人生を歩むことが出来たのでは無いか、そう思っている。
だから今はこの世界が、なだらかな風、ちょうどいい温かさの日差し、そして輝くように美しい花畑。その全部が全部、前の世界とは違った。縛り付けられ、何も出来なかった前の世界。それを拒んだ結果がこれだと言うならぬるい話だ。
きっと、一度目の人生でクソ人間として立ち回った俺にいい出会いなどが訪れるわけがない。
きっと、二度目の人生では、友達などすら出来ずに終わってしまうのだろう。
しかしそれもいいものだと思う。一度目の人生での様々な窮屈さ、生きづらさ。
それがなくなっただけなら俺はもう、きっと二度と他人に迷惑をかけるような真似はしないだろう。
一度目の人生が終了し、そして目を開くとここだった。
一人、人気の無い花畑に置かれたこの状況。
更には一度も見たことの無いような広大な自然…
―つまり、俺は異世界転生をしたのだった。
そして最初の問いに答えを出すとすれば、そこは俺の知っている世界とは違う異世界。
そして、これからの俺を作っていく世界。
そしてこれから先、様々な出会いと別れを得て俺はまた思うのだ。
一度目の人生、クソ人間として立ち回った俺にいい出会いなど訪れるわけがない。
と…
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