第六話:放課後の青
【SE:夕方のチャイム。遠くで部活動の声】
その日、空はどこまでも澄んでいた。
昼間の風がまだ残る放課後、僕は校舎裏のベンチで、ぼんやりと空を見ていた。
「ここにいたんだ」
振り向くと、紬が立っていた。
「探しちゃったよ」
「ごめん、なんとなく、こっち来ちゃって」
紬は隣に座り、同じように空を見上げる。
「……この青、なんか好き。透明なのに、深くて」
「うん。すごく、遠くまで見える気がする」
「……名前、つけられるかな」
「名前?」
「この空の色。なんか、ちゃんと覚えておきたい気がして」
僕は一瞬迷って、それから、ゆっくりと言った。
「じゃあ……“約束の青”とか」
紬は目を丸くして、それから、そっと笑った。
「……いいね、それ。ちょっと、くすぐったいけど」
二人で見上げた空は、どこまでも続いていた。
――あの日の青は、たしかに、僕たちの記憶に刻まれた。
【SE:風に吹かれるページの音。ゆっくりと日が傾く。】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます