第2話 異形襲撃
私は……生まれて初めてこんな生き物として表していいものなのかもわからないような化け物と対峙していた。
「き、気持ち悪いスライム?ね……」そう私が言う。
「本当だ……こんな化け物見たことも聞いたこともねえ……気味が悪いぜ」とウインドルフが剣を化け物に構えながら言う。
「と、とりあえず本部には連絡はしてあるから応援がくるまで俺たちでこいつを足止めしとかないと……」オスカーは震えながらも答える。ふとエリナ―ゼを見ると、顔は青ざめているが何とか正気を保ちながら立っている。
「ま、町のあちこちでひ、悲鳴や、泣き声が聞こえてきます……ほ、他のところは大丈夫でしょうか……」そうエリナ―ゼは小さく言う。私は大きな声で周りの住民たちに避難所に行くように命令する。
「皆さん!ここは危険です!はやく避難所に避難してください!」周りの住人たちは恐怖でパニックになっているせいか私の言葉が聞こえていない様子だ。住人たちは恐怖によってその場に座りこむ者もいれば、我先にと周りの住民たちを押しのけて避難所に向かう者、その場で立ちすくみ絶叫する者など阿鼻叫喚な様子だ。
「ちっ、みんなパニックになっててまともに避難所に向かえてねえ……」小声でウインドルフが言う。
「とりあえず……この化け物を何とかしないとな……」オスカーはそう言って、みな剣を抜く。――この化け物を押さえないと住民たちを守れないとみな分かっていた。
私たちは一斉に化け物に切りかかる……が「おりゃあ!」「はあぁ!」「はあ!」「たあ!」そう言って化け物に切りかかったが……化け物は触手のようなモノを無数に私たちに向けて放ってきた。それを私たちは切り倒そうと剣を振り切るが……それは私たちの剣をいとも簡単にはじき返す……!
「なあ!」思い切り振り切った剣が化け物の触手によってはじき返されてしまう。見ても傷一つもついていないようだ……。バランスを崩すもなんとか持ち直す。周りを見てもみんなはじき返されているようだった。
「なんなんだあの触手?!硬いっていう感じじゃあねえぞ!……まさか物理耐性持ちか?!」そう……物理耐性は物理攻撃に対する一定の軽減力を持つスキルだ……だが確か物理耐性はあくまで軽減するだけで完全な防御はできないはず……つまりあいつは――「何らかの特別な剣術に対するスキルをもっているのか……それとも元々そういう触手なのか……」そう私が答えるが重要な事は。「こいつには剣術が効かないってことか……」――聖騎士である私たちは主に剣術で戦う、聖騎士でも魔法などが使えるのは聖騎士団長クラスの者だけだ。聖騎士は剣術を、魔法士を魔法を使い極めるのが普通だ。つまり――魔法の使えない私たちではこの化け物を殺せないどころか足止めすらできないという事だ。
相も変わらず化け物は「テケリリ!テケリリ!」と耳障りな鳴き声を発している。
どうする私……考えろ……どうやったらこいつを足止めできる?!そもそもなんでこんな化け物が急にあの変な十字架から出てきたんだよ!……イラついていても仕方ない……とりあえず冷静にならなければ。そう思い私は一度深呼吸をする。幸いあの化け物は足が遅いらしく大して進んでいないようだった。
「こいつは剣術が効かないみたいだ……!だから……魔法士の応援がくるまで私たちでこいつを止めるぞ!」そう私はみんなに言いながら剣を化け物に向け構えるのだった。
古のアルカディア かなとん @kimukana73
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