第25話 煩悩が為に鐘は鳴る ロリババ尼僧の試練

情念寺の山門がギィィときしみをあげて開くと――

そこに現れたのは、袈裟姿に尼さんの衣、小さな背丈に銀髪の美少女、しかしただならぬ達観と老獪さを漂わせていた。、

「明らかに中身はババア」と分かる雰囲気を漂わせる人物。

「久しいのう、白骨。わしに会いに来たのかの?」

和尚(蓮におぶられた状態)「……うむ、すまぬのぅ、召子しょうこ。拙僧、ただ今移動手段がこれでな……あ、皆、ワシの元カノでここの門番、八百尼やおに召子しうょこじゃ」

蓮「ま・た・か!?どこ行っても元カノいるな。この骸骨!」

寧々子「方々でやらかしてるからな。見覚えあるわ、あの人…」

クレオパトラ(ふくれっ面)「貴方の女子交遊録、マジで博物館にしたほうが良いですわよ?」

比那子ひなこ「(メガネくい)……今度本にまとめますか?」

八百尼やおに召子しょうこが、すっと後方に指を掲げると――

周囲の景色がぐにゃりと歪み、山門だった場所は見渡す限りの岩と砂の荒野へ変わった。

召子「お主には散々な目に会わされからの。通りたくば、ワシが召喚するこの結界の守護四体を打ち倒すのじゃ。勝ち抜き戦、交代不可じゃ!」

蓮「この骸骨滅ぼすべきかも…」

和尚「さすが召子、門番向きの女よのう……」


招子が指を鳴らすと地面が盛り上がり、巨大な妖怪4体が姿を現した。

• 一体目:泥と岩でできたゴーレム型妖怪「土岩坊どろいわぼう」体高約8m

• 二体目:燃え盛る炎の髑髏「赫怒鬼かくどき」体高約10m

• 三体目:黒い霧に包まれた「亡者車輪鬼もうじゃしゃりんき」直径約10m

• 四体目:巨大な蛇の巫女「百呪媛ももろひめ」全長約30m


和尚「昔からバトル脳なところあったのう……」



寧々子「ふん、なら最初はあたしが行く!ここなら、遠慮いらねえな!」

蓮「ね寧々子さん! あんなでかいゴーレムみたいなの……!」

寧々子、荒野の地面にしゃがみこむと、指でクイと地を撫でるような仕草。

「――絶土ぜっと川・川神の名において! 喰らいやがれ、水の怒りッ!!」

ゴゴゴッ……!!

空気が振動し、大地を引き裂くように地面から鉄砲水の濁流が噴き上がる!

ドオォォォォン!!

まるで土石流のような水圧が、岩の巨体ごと土岩坊を巻き上げ、空へと吹き飛ばした。

バラバラと岩の欠片が降る中、寧々子が涼しい顔で仁王立ち。

だが、いつもと頭部が少し違う。激流で愛用のウィッグが吹っ飛び、普段隠している河童の皿がむき出しになっていた。そして頭上からまっすぐ落下してくるウィッグを片手で鮮やかにキャッチ、スポンと頭部にセットする。

寧々子「一匹目、終了ッ!」

蓮「開始5秒で地形ごと流した!!」



第二戦:赫怒鬼 《かくどき》vs クレオパトラ8世

赫怒鬼、燃え盛る大髑髏の巨体が、空中で炎を吹き出す。

蓮「すごい火力!燃え尽きる前に逃げた方が……!」

クレオパトラ(くるりと踊るように一回転。服装が装飾ビキニアーマー風の戦闘服にチェンジ)「いいえ、私は熱いの、得意ですのよ♡」

パチン――と指を鳴らすと、彼女の背後に黄金のスカラベの文様が浮かび、そこから巻き起こるのはナイルの奇跡・超巨大竜巻砂嵐!

グオォォォォォォォ!!!

風圧で地が抉れ、嵐が赫怒鬼の火炎を巻き上げ、反転させて燃焼を止めていく。

クレオパトラ「砂漠の怒り、受けてみなさい!」

バギャァァァァァアン!!!

赫怒鬼は回転しながら竜巻に吸われ、風化して消えた。

クレオパトラ(涼やかに髪を整え)「砂の女王、ここにあり♡」

蓮「なんだこの人たち……あれ、でも前に池で相撲取ったときはここまでは……」

「あんな場所で本気出せるわけないだろ」「そうそう、あれは飽くまで女の魅せ会い、意地の張り合いですもの。」

蓮「まさかの強キャラ設定!」


続いての敵、亡者車輪鬼は、無数の髑髏をまとった車輪型の妖怪。黒煙を撒きながら爆音とともに地面を這い、突進してくる。

ギュルルルルルルル……ズガアアアン!!

蓮「なんだあれ!?エンジン積んでるの!?」

比那子(冷ややかにメガネをくいっ)「地獄署の“業火条例”ってご存知でしょうか?」

妖怪が迫る中、比那子が警察手帳をパッと開く。

「――火炎指定区域・業火発令!」

ゴゴゴゴゴ……!!

比那子の周囲に鬼火が灯り、背後に浮かぶのは地獄署のマーク「炎に囲まれた六道輪廻の紋」。

比那子「この、“紅蓮夜叉ぐれんやしゃ”は伊達じゃないって教えてあげましょう!!」

シュウウウウウウウ!!

一気に温度が上がり、地面が蒸発。彼女の手から放たれるのは、まさに工場火災級の炎の奔流!

バシュウゥゥ!!!!

黒煙すら焼き尽くすような火炎で、亡者車輪鬼は爆発四散。

その煙の中から比那子が髪をなびかせて歩み出る。

比那子「焼却処置、公務執行完了。」

蓮「比那子さんも強い!」


招子「ふふ……さて、残るは一体。“百呪媛ももろひめ”――幾百の呪を操る、結界最強の守り手じゃ!」30mに迫る大蛇の頭部に座高だけで2mはある貞子みたいな恐ろしげな着物の女の上半身が付いている。着物にはヤバそうなお札が大量にブラついていた。

クレオパトラ「じゃ、次は蓮ね」

蓮「いや、待って! なんで俺なの!?」

寧々子「だって四人目、あんただろ?順番的に」

比那子(無慈悲)「頑張りなさい。」

クレオパトラ「あなた負けたら、しばらく“奴隷”扱いになっても文句は言えませんわよ?」

蓮「鬼ッ!? クイーンッ!? 河童ッ!? 」

和尚(蓮の背中からひょっこり)多少は地霊としての力も使えるようになったじゃろ、死ぬ気で一度やってみい!」

蓮「てめーが元凶だろーがっ!!」



果たして蓮の運命は?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る