第3話 『通知が……何も、来ておりません……』
神よ──
わたくしどものような下賤な創作者の話などに、お耳を傾けてくださり、
誠にありがとうございます。
ところで、読み専の皆様。
通知が来ない夜のことをご存知ですか?
さて、本日は……
「通知ゼロ地獄」の話を、少々させていただきますね。
投稿直後。
震える指先で「更新ボタン」を押し、祈るように画面を見つめる作者。
──通知、来ず。
ページを開く。
星も、ハートも、コメントも──何も、ございません。
確認のため、もう一度リロード。
……変化なし。
思わずスマホを置き、ため息と共に天を仰ぐ。
「あれ? 更新、ちゃんとできてたよな……?」
──はい。できております。
それでも、何もないのでございます。
神よ。
これは創作者にとって、いかに過酷な現実であるか……ご想像いただけますでしょうか。
読まれていない。
読まれても、刺さらなかった。
もしくは、単純に目に留まらなかった──
理由など、分かりません。
分からぬからこそ、心が、ぐらつくのでございます。
「自分の文章は、誰にも響かないのでは?」
「このまま、書き続ける意味はあるのか?」
「なんで……なんで俺、こんなに必死なんだ……?」
そうして崩れかける己を、
それでも、翌朝もう一度立て直して──
また更新ボタンを押してしまう。
これこそが、創作者の“業”なのでございます。
では、なぜ彼らは、それでも投稿をやめないのか?
──それは、たった一つの通知が、
深海に酸素を送り込むほどの力を持っているからです。
星ひとつ。
ハートひとつ。
コメントひとつ。
フォローひとつ。
それだけで、沈みかけた創作者が息を吹き返すのです。
⸻
ですから、神よ。
もし、もしも……
あなた様の心にほんのわずかでも引っかかるものがございましたら──
その御手で、たった一つの救いを与えていただけませんでしょうか。
どうか、お願い申し上げます。
通知が……通知が、欲しいのでございます!!
……はっ、失礼──
つい、取り乱してしまいました。
──神よ、あなたのご来訪に心より感謝申し上げます。
どうかまた、ふらりとお立ち寄りいただければ幸いでございます。
その時こそ、あなた様の御手に──通知が灯ることを、心から願って。
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