インテリアショップにて

インテリアショップをふらふらと眺めて、

生活のやり方を学んでいる

幾億通りの生活が陳列されているようでいて、

どこか規則性が感じられて面白い

あるべき姿は誰かがどこかで決めていて、

その枠内で、みな遊び心を膨らませている


その答えがどこにあるのか、なんであるのかを

並べられた家具から覗き見ようとする

型にはめれば万事好調に転がりだすはずだと

身体を無造作に動かすための命令式を模索する


ただ外からインテリアショップを眺めているばかりで、

決して中に立ち入ろうとはせず、人目にも触れぬよう振る舞うばかりでは

ただ一つも身にまとうことはできない

ショーウィンドウ越しの風景はいつもどこか歪んで見えて

現実よりもよほどきれいか、あるいは薄汚れて見えて

己の機嫌次第で何もかもが色を変える


生活することは苦手だ

たまに軌道に乗ったように思えても、すぐに点でばらばら

自分で決めたはずのルールも、壁に貼りだしたルーチンも

条件反射的に行われるはずの習慣も形を成さず

無風景のように、あるいは壁のシミのように

意味をなさないことに意味を持ち始める


定着するまでの期間はあまりにも長くて、

移ろうような一日一日は、一瞬間に過ぎるようでいて、

自分の都合の悪いところでは牛歩のごとく歩みを見せて

僕が目を向けたときには、素知らぬ顔でそっぽを向いて見せる


何か僕が不都合をしただろうか

頽れた家具からあふれるちっぽけな生命力

生き生きとして見えた表情も、ワセリンに毒されてくすんでいくようだ

歪なピースばかりが寄せ集められて、個を成すにはあまりにもつなぎが足りない

ひとつひとつを買い足すだけでは対策にならない

ようやくわかってきた


ほんのひと時の感情に身を任せて続いていく、

ただ転がっていくような生活の日々は

長く続く人生を物語るようでいて、掌編集のように味気ない

自分でもできることから探していく

いまだ何も見つからないけれど、選択肢にあふれた現世、

何か一つくらいはあるだろうと期待して、またインテリアショップを覗く

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