氷はジャムにならない

冬城衣

氷はジャムにならない

きみと居るさみしさはお湯ぬくまってするする溶けてゆくのが不快


鍵のない小部屋でふたり眠ろうよ不安は毒でやさしいからさ


お布団にくるまるふたりは溶け合ってジャムに ならず ばらばらなまま


沸々と煮詰まったこの希死念慮ガラス小瓶に冷やさず注ぐ


心臓の鼓動ばっかり聞きたがる そんなにわたし死んでいますか


お湯だってジャムになったらいいのにな 死んでしまうね あったかいまま


ぐるぐると回り縮まるセーターに頬擦りをする涙で濡れる


なにもかも投げ捨てわたしと死ぬきみはすごく甘美で だから要らない


選べるよきみは生きるを ほらジャムをあげるから口あけてよ、あーん


生きることだけが理由で生きていいらしいきみには生きててほしい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

氷はジャムにならない 冬城衣 @koromo_GuwuGzzz

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画