7月5日
白川津 中々
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どうやら世界は滅亡するらしい。
先日ファストフード店にて、「7月5日に地球滅ぶんだって」という気軽な話し声が聞こえてきた。スピってんのかなぁと思いながらXを見てみるとおすすめに同じく7月5日に滅ぶとのポストが目につく。奇しくもその日は大国の紛争介入が報じられていた。第三次大戦によって地球全体が火の海に包まれる未来を想像すると、食べていたチーズバーガーの味が消える。あぁ、これで死ぬのかと、特段大きな喜びもない、むしろ嫌な経験の方が多いまったく面白味のない人生だったなと、少しくらい挑戦してみてもよかったかもしれないなとネガティブな感情が渦巻きため息が出た。モラトリアムに彩られた生涯などこんなものだろうと無理やり納得させようとしても、やはり胸にこびりつく後悔の二文字。過去を振り返って自身の怠惰を鑑みるとピクルス味の溜飲が上がってくる。どうせ滅亡するなら思い切って金を借り遊び呆けてみようかと露程に思ったもののもし滅亡しなかったら取り返しがつかないなと及び腰になり即棄却。そもそもそんなに思い切りが良ければこんな悩みは抱えていなかった。無為無益な想像である。
結局考えまとまらぬまま、嫌な過去の記憶と将来への絶望のみ無駄にこさえて帰宅しごろりと横になっていた。休日にハンバーガーを食べて寝るというまったく無駄な1日をまた過ごそうとしている自分に対しての怒りと諦めと、何もしたくないという心からの欲望を受け入れる。滅亡するならこの瞬間、目を閉じて今にも眠りそうな今であってくれと愚にもつかない事を考えそのまま意識喪失。気付けば夕方。後悔である。起きてやる事がXの確認というのもまた、物悲しく哀れだった。おすすめポストは政治の話やらなにやらで埋まっておりゲンナリとするもスクロールを止められない。極論に毒されぬよう冷笑的に捉えていても、心がざわつく。
そんな中でまた7月5日に関する投稿を見た。
それによると、予知の内容は世界滅亡ではなく日本沈没という事が分かった。なるほど日本から出ていけば助かると、やはり借金して海外に行ってみるかと露程に思ったが、掻き消えた。とにかく、気怠かったのだ。
助かったとしてどうなる。
そんな自虐に酔ってしまう自分が、そこにいた。
俺は今日も、モラトリアムの中を生きている。
なにもできないまま、ゆっくりと、死に向かって。
7月5日 白川津 中々 @taka1212384
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