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いろんなことが上手くいかないのは昔からよくあることで…。


特に対人関係に関しては苦戦してきた。


友達作りも、恋愛も、家族との関わり方も。


そんな時自分を救ってくれてたのは“小説を書くこと”だけだった。


現実がうまくいかないからこそ、フィクションの世界はこうであったらいいと想像して描くことができる。


そんな話が売れることは、滑稽で皮肉だとも思う。



でもそうやって自分のマイナスな部分を誰かに認めてもらえるなら、

もがき苦しむ意味はあるとも思える。


そうやって、自分で自分を救う方法を考える。



時間を忘れて書いた。

学校へ行くことも、食べることも、眠ることも忘れて。



自我を取り戻したのは家のチャイムが鳴った時だった。


気づけば部屋の中はエナジードリンクと栄養補給ゼリーで溢れていて、最後にゴミ出しをいつしたかも覚えていない。


乱れた服も髪も整えないまま、うつらうつらドアを開けると、驚いた顔で立っている晴澄がいた。



「びっ…くりした。今確認せずにドア開けましたよね?」


「んー…ごめん、ぼーっとしてて」


「不用心。てか大丈夫ですか?」


「何が…?」


「何がって…」


その視線は私と、その先の部屋に向く。

多分散らかってるのバレてる。

ぐちゃぐちゃな姿に引かれているかもしれない。


「最近こだまに顔出さないからってサトリさんが心配してて」


「あー……え、最後に晴澄に会ったのいつだっけ?」


「3日前ですよ。うちのレストランに来た時」


「えっ」



嘘…。

もうあれから3日経ったの…?


確かに時間も忘れて没頭していたけど、まさかそこまでとは思っていなかった。

私は慌てて部屋に戻りスマホを確認した。

原稿の締切は明日だった。


「あぶな…」


「槙江さん…?」


「あっ!ちょちょちょっ…待って!」


「なんですか」


心配した晴澄が部屋に入ってくるのを慌てて引き止める。

急に頭がクリアになって、この状況の気まずさが込み上げる。


「部屋散らかりすぎてるし、私何日前にシャワーしたか自分でも覚えてなくて」


「はあ」


「てか何?晴澄は…どうしたの?」


「…サトリさんが多分また引きこもってるだろうからご飯作って持ってけって」



そう言って晴澄は手に持っていた大きめの紙袋からタッパーを何個か出してキッチンにおいた。

それを見たら突然お腹が空いてきた。



「準備しておくんで、シャワーしてきてください」


「いいの?」


「もちろん」


不甲斐ない。

また…晴澄に甘えてる。

甘えてるってわかってるけど、もう我慢している余裕もない。


いつも晴澄には駄目なところばかり見られてる。

情けないって思うし恥ずかしさもあるけど、

それよりも大きな安心感を感じて…ついそこに縋りたくなってしまう。



「ありがとう…行ってくる」


「どうぞ」



シャワーを浴びたらさっきより頭がスッキリして、より空腹を感じた。

髪を乾かして30分くらいで部屋に戻ると、晴澄が部屋を片付けてくれていてテーブルにはすでにいい匂いの料理がいくつか並んでいた。


「ごめん、部屋片付けてもらっちゃって」


「大して散らかってなかったですよ。それよりご飯食べれそうですか?」


「うん」


この状況に、すでに泣きそうになっている自分がいた。


まだ食べてないけどわかる。



晴澄の料理は、絶対に美味しく食べれるって。


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