20

まだ18時になっていなかったけれど陶芸教室を終えて外を出ると、空は真っ暗だった。

焼き上がりは家に送られてくるそうで、

夕飯までの時間、都内にイルミネーションを見に来た。

クリスマスまであと1週間。


キラキラと色づく街並みはとても綺麗で人気も多く賑わっている。


皐月さんはスマホで何度か写真をとっていたけれど、私は1枚も写真を撮らなかった。

実際に撮っても見返すことは少ないし、この輝きを目に焼き付けた方がいいような気がするから。


晴澄は…どっちだろう。

写真撮るかな…撮らないかな。


てかさっき何も言わずに店出ちゃったけど、嫌な感じに見えなかったかな。


「夕飯なんだけどさ」


「あ、はい」


「うちで、食べない?」


「え?」


「俺、作るから」


皐月さんの提案に驚いた。

確か料理は晴澄ほどじゃないけど得意だと言っていて、いつか食べてみたいとは思っていた。


でも…家って…。


「嫌?」


また可愛い顔で見つめられ、そんな風に言われて断れるわけなかった。


「じゃあスーパー閉まる前に行こ」



…嬉しくないわけじゃない。


皐月さんは優しくて、一緒にいると楽しいし、

今日1日だって何をそんなに不安に思っていたのか、忘れてしまうほどだった。


だけど唐突にその不安を思い出す。

もうイルミネーションは目に入ってこない。


大丈夫、大丈夫。

必死に自分に言い聞かせながら皐月さんの家へ向かった。



皐月さんの家は職場のホテルから5つ電車で進んだところにあった。

少し都内からは離れるけど、駅にはスーパーや商店街があって住みやすそうな場所だった。


歩いて5分。

マンションの5階にある部屋は、とても広くて綺麗だった。


どこに座ったらいいかわからない私を笑いながら案内してくれて、ホテルマンらしく何もかもがスマートで、料理も本当にうまかった。

晴澄ほどの丁寧さはないけど、手際が良くて手伝う隙もない。


所謂男飯に近い雰囲気で作ってくれたハンバーグはただのひき肉ではなく粗挽き肉で豪快な大きさに形造って焼いている。


そんなに食べれるだろうかという不安もあったけど、出来上がった料理からは美味しそうな匂いが立ち込めていて、そんな不安も拭ってくれるほどだった。


「美味しそうですね。いただきます」


「はい、召し上がれ」


ナイフで切って一口、口に入れる。




とても美味しい。

これは嘘じゃない。

本当に美味しい。


美味しいけど…一瞬にして、嫌な予感がした。




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