12


「練習?」


「1日、デート」


「えっ」



不安が拭えないなら、不安を拭ってあげればいい。

自信がないのなら、自信をつけてあげればいい。


もったいない。


槙江さんのことはまだよく知らないけど、

幸せになって欲しいとは思う。


「大丈夫です。俺は槙江さんのこと嫌いになったりないです」


その言葉に槙江さんの表情が驚いた後に少し曇る。


「嫌われるほど関わってない気もするけど…」


「はは」


「なんで…君はそこまでしてくれるの?」


疑いを含んだ真っ直ぐな瞳で見つめられた。

槙江さんがそんな表情をすることを…初めて知った。


「ただのバイト先の娘なのに」


初めてのことを…たくさん知る。

その度に少し苦しくなるのは…どうしてだろうか。


「サトリさんにも槙江さんのお父さん…雪平ゆきひらさんにもお世話になりましたから。それに…」


「それに?」


「…事情知っててほっとけないですよ。紹介したの俺ですし」


「…そっか」


本当は…違うことが言いたかった気がする。

でもそれを言葉にできるほど、自分の気持ちがわかっていない。


それに実際に口に出したことは嘘ではない。

亡くなった雪平さんが心配しないくらい槙江さんが幸せになってくれたら、ちょっとは恩返しできるだろうか。

サトリさんの肩の荷も下りるだろうか。


悩みを減らしてあげたい。

スムーズに仕事ができるように。

自分に自信がつくように。



“眠れない”なんて泣く日を、少しでも減らしてあげられたなら…。

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