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そう言ったのは私が高1の時に父親と再婚したサトリさんだった。


私は高校卒業と同時に家を出ているけれど、サトリさんが経営するスナックに今でも夕飯を食べに行っている。

本当の母親ではないけれどサトリさんのサバサバしている性格が好きで今でもこうして生活習慣のダラシない私をなんだかんだ言ってサトリさんは心配してくれていた。



「私まだ学生だし24歳ですよ?早くないですか?」


「何言ってんの。私最初の旦那とは17で結婚してるわよ」


「サトリさんと一緒にしないでくださいよ。私がこんな感じなのはサトリさんが育児放棄したせいなのに」


「ちっがうでしょ!あんたがあたしの料理不味いって言って食べなかったのよ。てかあんたはもうあの時高校生だったし、引き篭もって部屋から出て来なかったからてっきりあたしのこと嫌いなのかと」


「サトリさんのことは好きですよ〜…今までのお母さんの中で断然」


「一言余計ね」



サトリさんは父親の4回目の再婚相手だ。

サトリさんも3回目だから似たようなもんだけど。


明るくて長い髪の毛を丁寧に巻いて、日常生活に支障が出そうなくらい長く伸ばした爪。

つけ爪なのか自爪なのかは聞いたことはない。

メイクも服装も何もかもが派手で、お父さんと結婚しなければきっと話すことのない人種だ。



「仕事辞めて結婚したら、ちょっとは生活改善できるわよ」


「仕事は辞めたくない」


「今は不眠期?」


「2日寝てないです」


「あんたそれでよく酒を飲むわね…それうちで1番濃いやつだけど」


お酒を飲むと、その夜は眠れる気がする。

でも気がするだけで、実際には眠れないことが多い。

こういうお酒の頼り方は良くないってわかってる。

でも、サトリさんはそれを止めない。

本当の親じゃないからこそ理解してくれる部分かもしれない。



結婚…。

考えたことなんてなかった。

お父さんやサトリさんと違って私には縁のない話だと思っていた。


多分私は…誰の隣でも安心して眠ることができない。

誰かに頼って安心したら…それこそなぜか駄目になるような気さえした。


だから結婚して生活することなんて、これっぽっちも想像できない。


「ほらそろそろ開店準備するからあんた帰りなさい。夜はこの辺りガラ悪いんだから」


「はーい」


今日も寝れなさそうだななんて思いながら残りのお酒を一気に飲み干し帰り支度をしていると、ガラッと扉が開く音がした。

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