結婚の提案

1

人の健康維持は食事・睡眠・運動が大事。


こんなの誰でも知ってることだし、改善しようと思えばいくらでもなんとかなると思う。


だけど私は世間で言うところの駄目人間であり、生活能力に恐ろしく欠ける部分がある。



子供の頃から小説が好きでいつしか自分での執筆を夢見ていた。

高校1年生の時にダメ元で文学賞に応募した作品が奇跡的に当たり、作家デビュー。


仕事が楽しくて睡眠そっちのけで書き続けていたら、いつの間にか生活リズムが狂って、不眠と過眠を繰り返すようになった。


それに引っ張られるように食事もしなくなり、同時に運動量も減った。


だけど一旦切りがつくと驚くほどお腹が空き、ご飯を3合炊いて、気づいたらそれをふりかけのみでたいらげる。



高校卒業後2年遅れて入学した大学に進学してからは小説の他にタブレットで絵を描くことも楽しいと思うようになり、この間初めて絵本も出版した。

大学4年生になり、学業も仕事もそれなりに楽しく、安定もしているけれど今一番の悩みはその生活習慣の乱れだ。


流石に身体が心配になり、人生で初めて行った人間ドッグでは20代前半とは思えないほど悪い結果が出た。

今までは気合いで乗り切っていたけれど、最近は身体が言うことを聞かない事も多い。

仕事のパフォーマンスが落ちる前になんとかしなきゃいけないことはわかっているけれど、お腹に何も入っていない時や睡眠不足の時ほど執筆が進むのが不思議でなかなか治せない。



色々意識はしている。


今の時代、自炊ができなくてもコンビニやスーパーで美味しいご飯は売ってる。

宅配サービスも利用してみた。


でも咀嚼と食事の時間を面倒だと思ってしまうとどうしてもエナドリとウィダーだけで1日を終えてしまって、気づいたら冷蔵庫の中は期限切れのもので溢れてしまう。


大学は電車で10分のところにあったけど、運動のために定期券が切れたと同時に自転車通学をするようにした。

単位が取れないのは困るからこれだけはなんとか続いた。


だけど一番深刻なのは睡眠だった。


ついこの間、学校帰りに自転車に乗りながら寝てしまい、思いっきり転んだ。

幸い単身で擦り傷程度で済んだけど、次はもしかしたら誰かを傷つけるかもしれないと思うと怖くなった。


仕事は忙しいけどセーブする時はしている。


それなのに、不眠と過眠が続く。


ひどい時は3日眠れない。

なのに人と話しながら突然意識が飛んで1日起きない時もある。



病院で相談して薬も貰ってるけど改善する様子が全くない。

もうこの睡眠障害とは一生付き合うものと思っている。



そんな時だった。



「あんた、結婚したら?」



そんな提案をされたのは。

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