弐 魔法なんざ必要ねぇって言ってんでぃ!
それからまた5年。イカリ様は10歳になりました。私は15歳になりました。
イカリ様は魔法が使えないながら国立東方学園に通い始めました。
魔法学の授業を受ける必要がない(受けられない)イカリ様はその分の時間は武道の訓練に時間を使われました。
しかし、魔法があるこの世界で武道が発展するはずもなく、ほぼ独学で学ぶしかありませんでした。
なのでイカリ様は──
「べらぼう共めぇ! 弱ぇ弱ぇぇ! 俺を馬鹿にしてた魔法つけぇ共の実力はこんなもんかぇ! 拍子抜けでぇ!」
学園の魔法大会でトップの成績を残しました。
魔法大会なのに、魔法なしで。
さすがです。イカリ様。
──
それから3年。イカリ様は18歳になられ、私は22歳になりました。
イカリ様の元へも何件かの婚姻の申し込みがあったものの──
「俺ぇのこともよく知らねぇままでよくもめぁ婚姻ねどとのたまうもんでぇ! ひばし俺ぁ旅に出でて見聞広げてくれぁ! でんぶ断っておいてくれぁ!」
そう言って突如旅に出てしまったのでした。
「フウカ。すまんが、イカリについて行ってくれないか。私はあいつがしっかりとこの家に帰ってきてくれるか不安だ……。やつしか跡継ぎはいないのに……」
「承知致しました」
そうして、私はイカリ様の旅路にお供させていただくことになったのでした。
「フウカ。あなたさえよければ」
「私のような元捨て子などには勿体ないことでございます」
「捨て子じゃないわ。あなたはエドモンド家のメイドとして、10年以上立派に勤めていたのだから」
「……感謝してもしきれません」
奥様の言葉は聞かなかったことにしておきます。
何でも奥様は、イカリ様が私以外の女性を嫌っているのではないかと不安に思っているそうなのでした。
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