14怖目 『お願いごと』

 足の速さがクラスでビリだった僕は、近所の神社で手を合わせた。


 「どうか、足が速くなりますように」


 だけど、お願いは叶わなかった。


 だから、放課後に毎日校庭で練習して、クラスで一番速くなった。


 


 算数のテストが苦手だった僕は、近所の神社で手を合わせた。


 「どうか、今度の算数のテストでいい点が取れますように」


 だけど、お願いは叶わなかった。


 だから、毎日塾で勉強して、次のテストで満点を取った。


 


 絵を描くのが下手だった僕は、近所の神社で手を合わせた。


 「どうか、絵が上手くなりますように」


 だけど、お願いは叶わなかった。


 だから、毎日絵を描き続けて、ついに学校のお絵描きコンクールで賞を取った。


 


 クラスでいじめられていた僕は、近所の神社で手を合わせた。


 「どうか、いじめられなくなりますように」


 だけど、お願いは叶わなかった。


 だから、学校の帰り道、車がいっぱい走ってる交差点で、あの子を思いきり押した。

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